手のひら聖書のススメ




ソニー製のクリエ PEG-T400
漢字が綺麗に表示される
モノクロ端麗極生?

●「パーム」ってなんだっちゃ?

 それはPalm社が提供するPalm-OSによって動く、手のひら(Palm)にのるコンピューターの総称である。もともと電子手帳用に開発されたので、基本アプリはスケジュール管理やアドレス帳など、システム手帖と同じような感じだ。しかしパームのすんごいところは好みの機能にカスタマイズできるアプリが極めて豊富な点にある。Muchy. comへGO!)各種辞書から表計算、天体観測やゲームまで、実用から趣味まで幅広く備えております。
 そしてパソコンとデータ連携(HotSync)することで、データの細かい作業はパソコンに、データを気軽に閲覧するのはパームにと、機能不足を補いつつ孤立無援に陥ることなく、キチンと住み分けができる。備忘録として閲覧・書込みしながら人と話していても、パソコンのように垣根をつくらないのがGood! いろんな意味でパーソナルな電子機器なんです。

 パームの気軽さは。。。
1)電卓なみにコンパクト(厚さ9.9mm、重さ122g)
2)充電池は約1週間もつ
3)OS、アプリの起動は瞬時に立ち上がる
4)どのアプリでも自動保存し作業途中の画面が再現される
 。。。などの特徴があります。



●「聖書リーダー」って何どすえ?

 聖書リーダーはパーム用アプリとしては少々マイナーだが、一般の文書ファイルとは違い書籍として非常に分厚い本である聖書には、専用アプリとして聖書リーダーが色々と出ている。パラパラめくって読むには画面が狭くて物足りず(これはパソコンでも同じ)、じっくり聖書を昧読できるようなものではないが、自分で調べ物をするときに、電車のなかではもちろんのこと、聖書片手に寝転がりながらでもできます。ただしお釈迦さまの涅槃の境地。。。ってなわけにはいきません(^_*)\バキッ また、よく礼拝説教の最中に「〜の○章×節にはこのように…」という引用や、「この箇所はギリシア語原典では…」などのような補足があった場合、これさえあれば!と思うことの多い便利モノである。(せっかく話しでまとめてくれてんだからわざわざツッコミ入れなくても…というのはさて置いて)

 電子聖書ならではの便利な点をあげると。。。
1)手帖なみにコンパクト(結局これに尽きる)
2)用語検索が簡単にできる
3)複数訳の聖書が簡単に見比べられる

 本と違って不便な点は。。。
1)パラパラめくりながら斜め読みできない
2)注釈などの書込みができない(DAメモパッドの起動はできる)
 。。。などです。

 ちなみに私のパームには2種類の聖書リーダー12種類の訳が詰まっています。恐るべきことにこれだけの訳が手帖サイズに収まってしまうわけで…全部が全部、必要というわけでもないのですが、キリスト教音楽(もちアマチュア: 1, 2, 3, 4 …結構粘着質…)をやってる関係上、各国語の聖句の箇所など調べるのに無いに越したことはないという微妙な関係です。聖書リーダーは26kB〜270kB、聖書テキストは新約800kB+旧約1200kB=2MB/訳というコンパクトさが光ります。8MBのユーザー領域に聖書リーダーを置き、テキストは外部メモリ(メモリスティック)に詰めています。
【現在パームに入ってる聖書】
モバイブルをtoDoボタンに、BibleReaderをメモ帳ボタンに割り当てています
言語 訳名 アプリ
日本語 口語訳、新改訳、新共同訳 モバイブル
ギリシア語 Nestle-Aland 第27版(NA27)
Byzantine Text
LXX Seputuagint
BibleReader
ヘブライ語 Biblia Hebraica Stuttgartensia(BHS)
ラテン語 Vulgate
英語 King James Version(KJV)
ドイツ語 Luther 1984版
フランス語 Louis Segond 1910版
中国語 和合本:Union Version



1.モバイブル

 日本語のPalm-OS用聖書リーダーとして随一の存在であるモバイブル。Windows用聖書ソフトの草分け的な存在の「J-バイブル」からテキストを切り出してパームに入れて持ち歩くためのコンバーターが付いている。ひとつの訳が新旧約合わせて2MBの容量となる。メモリースティクに対応していて、本体メモリにモバイブルのプログラムのみ置いておけばいい。検索は開いてる訳のなかで実行され、聖書の訳の切り替えも同じ箇所でそのまま閲覧できる。左の図はクリエでhrFontMapperを使ってハイレゾ+スモールフォントに強制変換したもの。これでかなり本らしく読みやすくなったと思います(逆に年寄りには細かい文字はキツイらしい)。
 今後、J−バイブル2nd、3rdに対応するのだろうか?はたまた文語訳(今でもお年寄りは引用することが多い)やリビングバイブル(悪玉はベランメェ調(^_*)\バキッ)など、さらに多数の訳が追加インストールできるようになるのだろうか? コンコルダンスとの連携は…などなど、今後の広がりが楽しみなソフトである。是非とも出版業者間の垣根を越えてパーム聖書を盛り上げてほしい次第です。




2.BibleReader(Olieve Tree Bible版)


ギリシア語新約聖書


ヘブライ語旧約聖書
 モバイブルでは英語訳の聖書はサポートしているが、J−バイブルのようにギリシア語やヘブライ語の原典はまだサポートしていない。そこで見つけたのが"BibleReader"です。
 BibleReaderは、アメリカでオンライン・バイブルを運営しているOlieve Tree Bible Softwareで配布している聖書リーダーと各種テキスト。聖書自体は英語訳がもっとも充実しているのはもとより、ギリシア語やヘブライ語の原典、ルター訳、東欧の諸言語などの訳を取りそろえている。ほとんどはフリーで配布しているが、訳に著作権のあるものは$20〜$30くらいの価格でインターネット販売している。リーダーの操作はモバイブルと瓜ふたつの仕様で、英語の表記ながら迷うことなく使えます。
 また、最近ようやくヘブライ語原典(BHS)が丁寧にもマソラ読みで登場し、しかも検索用にヘブライ語キーボードまでついているという手の込みよう。心配していた以上にノーマル表示でも十分にマソラ記号が読めるのが嬉しいです。
 ギリシア語、ヘブライ語ともに専用のフォントを備えていて、自動的にそれを読むように設定してあるので、このことに関しては特別な設定はいらない。(ただしドイツ語やフランス語の表記は下記の設定が必要) ギリシア語検索もギリシア語フォントのままで行え、訳を切り替えたときにも章節は連動して同じ箇所が表示されます。
 外部メモリーへの対応は不十分だが、PiDirect IIでメモリ起動することで解決できる。PiDirect経由で起動する際は数秒ほど画面が白いままで停止した後に起動するが故障ではなく、起動した後はほとんど問題なくスムーズに閲覧・検索ができます。
(Olieve Tree Bibleの将来的なヴィジョンはhttp://www.olivetree.com/gnt/を参照)





3.メモリの拡張

 聖書ソフトは辞書並みに容量を食います。ひとつの訳で2MB程度ですから、通常のユーザー領域では3訳程度が精々です。でもモバイブル以外のアプリは外部メモリへの対応はしていません。そこでメモリ起動を仲立ちするソフトが必要なのですが、よく知られているものにPowerRunとPiDirect IIがあります。
 PiDirect IIは起動できるアプリは限られているのですが、表示に必要な量だけを読込むようで、起動もスムーズで操作も若干遅くなる程度で済みます。このソフトのおかげで聖書ソフトはほとんど無制限に各国語訳を収めることができる(キリスト教の伝統を辿ることができる)ようになり、ただひたすら感動しております。



4.言語環境の設定

 
通常ドイツ語を表示すると…


FontHackを使用すればO.K


ちなみにこんなフォントもある
 ここで日本語OSでドイツ語のUmlauteやフランス語のAcsentを表示するときの文字化けを回避する方法を披露いたします。
 日本語版Palm-OSには欧文フォントの記号文字が入ってませんので、UmrautやAcsent文字は文字化けしてしまいます。一部の漢字とコードが重なっているのが原因なのですが、重なっていない文字は豆腐文字が表示されます。

 まずHackソフトのFontHackをインストールします。OS4.0用にはベータ版が出てますのでそちらを使いましょう。あと表示する欧文フォントもAlphaFontが40書体以上をフリーで提供しているので好きなフォントをインストールします。

 FontHackはアプリ毎に表示フォントを変えられるHackソフトで、設定したら強制的にそのフォントを表示させることができます。そこで欧米文字のフォントを強制表示させれば、Umlauteも文字化けせずに表示できるというわけです。全アプリでデフォルトのフォントを置き換えてしまうことがないので、アプリ間での干渉も皆無で安定して使えます。

 便利な点)
・アプリ毎に使用するフォントを設定できる
・フォントは1書体5kB程度でとてもコンパクト
・検索は本文の単語をコピー&ペーストして実行できる

 問題点)
・読むことだけで書くことはできない(日本語IMEが記号文字未対応)
・同一アプリ内での日本語併用はできない(メモパッドは文字化け)
・ハイレゾ・フォントが提供されていない

 とりあえず欧文でのハイレゾ表示は漢字ほどの必然性がないのと、読むことが中心のソフトを前提にしているので書くこともほとんど必要ない。その内、多言語でメモを取ることもできるようになれば便利かもしれません。






 BibleReaderには中国語聖書(和合本:Union Version)もあって、CJKOSという中日韓国同時表示のアプリを使うと読める。他の言語と比べてやはり漢文は収録スペースが異様に緻密になることも判る。左はヨハネ福音書の冒頭だが、言(ことば)は道と訳されており、日本でもこれに倣って文語訳(元訳)では道(ことば)と訳されていた。鎖国中もマカオを中心として宣教の続いた中国での語彙の集積をみると、この辺の感覚がなかなか日本語聖書のルーツを辿るうえで興味深いものがある。



5.聖書用辞書(コンコルダンス)
  ※英語しかないよん〜(^_*)\バキッ…でも原語講読には必須…
   ★聖書の電子コード化のさそい

5−1.BibleReder Ver3.40までの話し


これは便利!!

 狭い画面になにゆえ辞書まで…というのは下司の勘ぐりでOlieve Tree Bible Softwareから出てるギリシア語新約聖書専用辞書のGramcord+Greek-English Dictionaryは、むちゃくちゃ便利どす。Graffitiに"W"をなぞるだけで辞書エリアの表示・非表示が簡単に切り替えられて、なおかつギリシア語原典の単語をタップするだけで単語の意味が表示される…首っ引きの首がひとつ凝らずに済むというええ案配でさぁ。辞書はUBS(United Bible Societies)のもの。下のStrong's Numbersに比べると検索の語彙範囲が狭いかもしれないが、じっくり付き合うには非常にいいアイテムです。


KDIC版 Strong's Concordance
※テキストはギリシア語原典
Strong's Numbers付
 英米の辞書にはStrong's Numbers(左図の"4151"など)なる対照番号があって、聖書原典の単語に整理番号がついて訳語の適用を知ることができます。もともとは人間味のない記号を羅列しただけのはずなのですが電子情報機器にはすごく相性がよさげ。いやアッパレなほどよろしい。
 ※James Strong(1822-1894):アメリカのメソヂスト教会員で在俗の研究家
  Exhaustive Concordance of the Bible(1890)を執筆

 左はStrong's ConcordanceのKDIC版。香港のYoyoさんが公開しています。
 併用しているのはOlieve Tree Bible Softwareギリシア語原典にStrong's Numbersを振った"Parsed"テキストで、聖書を開きながら辞書をDA起動できて結構便利です。文章としては読みにくいが(有償版は表記の解除とかできるらしい)、表記されたStrong's Numbers(数字をブランクで挟む)でそのまま語幹の串刺し検索ができる点が、変化形の苦手な初心者(→私)にあま〜い辞書でもある。




5−2.BibleReder Ver3.50からの話し





 BibleRederもPalmOS 5に対応して大幅に仕様が変わっております。主な変更点は以下のとおり。
1.訳の表示を3つまで同時表示できて対称できる。
 左は上段:ヨハネ1:1(KJV)、中段:創世記1:1(70人訳)
 下段:ヨハネ1:1(NA27)
 ・Strong's Numbersで簡単にギリシア語と対称できます。
 ・これだと旧約からの引用が比較できて便利です。
2.ローマ字表記だったギリシア語聖書がギリシア文字に…
 お陰で文法表記が意味をなさなくなっています。
 同じように数字もKDIC辞書でピックできなくなりました。
 こちらはVer3.40のほうが便利だったかも。
3.検索はKJVだとStrong's Numbersで変化形の差異を気にせず
 串刺しで検索できて便利です。
4.右にナビゲーションがついて狭い画面での融通を多少持たして
 います。
5.付属辞書は必ず訳の下の段に表示されます。3段目にある場合は
 折り返して1段目に辞書が表示されるようになります。




 待望のヘブライ語BDB辞書も出ました。まだ本文のParsingが完全でない(マソラ読みを失敗してる)ようなのでバグ取りに今しばらく時間が掛かりますが使い勝手は非常に良好です。本文$40+辞書$30が安いか高いかは微妙なところでござる。Storong's Numbers付の聖書と併用すると検索のパワフルさと本文との比較が容易に味わえます。
 KJV、NASBのStrong's Numbers付があるので、異なる訳語を原語の語彙で串刺し検索できるのでかなりのことが調べられる。ただし辞書の古いこと(どこか推測的な訳語もある)は否めないので、上記のUBSやDBDと併用して調べるのが良いかもしれない。

 原語で聖書を読む場合には、原語と訳語との比較ができるのが便利なのですが、どちらを上位に置くかはかなり自由だと思います。旧約では原語→辞書→Strong's Numbers→英語訳という橋渡しで見ながら読みます。詩編などは音節や語順というのが良く生かされていることが多いので原語を上に置いてみると面白いでしょう。新約では単語の意味の継承が知りたいので英語訳を上に置いて比較対称します。場合によっては70人訳も引き連れて用語を比較対称をすると、旧約と新約の文化の違いのなかでの信仰の継承を具体的に見ることもできます。どの辞書をメインにするかでも上段下段の区分けが可能かと思います。

 こうしてみると辞書のない聖書が不便に思えるほど便利な道具になっています。これがポケットサイズに収まるのですから驚きです。礼拝中でも大袈裟に辞典を開かずに原語の意味を確認できるわけですから本当に良いことだと思います。



インターネットを使ったOnline Bibleでも検索できます。
http://www.olivetree.com/bible/index.html
文字がローマ字(なおかつヘブライ語は逆綴り)ですが、検索スピードは正確でかつとても早いです。

左の画面はXiinoの表示をむりやりつなげて…英語の対訳とStrong's Numbers付…おそるべしOnline Bible。(日本語ではどうよ?)
ちなみにStrong's Numbersをサーチするとコンコルダンスの内容が出てきます。

パソコンでも便利なので是非活用してくださいまし★





●願ったり叶ったりとは。。。

 まず複数ある聖書リーダーが共通のものにできればとてもいいと思います。著作権の問題を国際的にクリアにするには、再販制度などの規制緩和が先立ってまだ時間が掛かるように思えるが、いのちのことば社がJ-バイブルにおいて複数訳のライセンスを取ったのと同じ勢いで、どのアプリ開発者もがんばってほしいと思っています。例えば、海外に住む日本語生活者にとって数百MBのWindows用データをダウンロードするよりも、2000円程度で2MBのパーム用データを独立して購入できるほうが便利です。その際、ルビ付仕様にしてもらえると、読み物として非常にありがたいものになると思います。

 もうひとつは本文と連動する注解や辞書があれば便利だと思います。例えば「辞スパ」のようにDAソフトにしてサブ表示させるとかできると、とても便利かなと思います。Olivetree製のギリシア-英語辞書はとてもすばらしい出来で驚いています。コンコルダンスや神学辞典をKDIC辞書に収めるという手もありましたね。Strong's Numbersは電子情報の権化のように思えるが日本では古く忘れられた存在。聖書の単語のみしか扱わないという弱点はあるが、新しいイデオムを補えば素晴らしいものになるような気がいたしまする。ともかくStrong's Numbers付聖書+KDIC辞書は語尾(ゴビ)砂漠と喩えられる原語講読を初心者に促す絶好のアイテムでございます。(求む日本語のStrong's Numbers付聖書!!)
 
逆に聖書日課や神学書などで聖書を辞書扱いにしてDA起動させるのも面白いかもしれません。青空文庫のように著作権の切れた信仰書のレパートリー作りに、より多くの参加があるコミュニティーができると面白いですね。過去の神学書の主要なものをパームサイズのコンピュータでデータベース的に取り扱えることも夢とも思えなくなります。このような利便性は聖書だけに留めておくにはもったいないように感じます。

 以上のごとく便利なデータが手帖サイズに収まるとなると、教会における礼拝での電子書籍の扱いがよりパーソナルに機能すること間違いなしです。もちろん礼拝がただパーソナルになること(例えば説教中にゲームをしてたり。。。)は問題なのですが、見て聴いて確かめるという個人の理解と礼拝の出来事がより緊密になること(例えば牧師先生が必要なデータを赤外線ビームするとか。。。)に留意すれば、電子書籍やデータ端末の意義はより深いものになるように思います。結局そうした倫理策定はデバイスによって方向付けがなされるのではなく、個人の責任と教会教育の範疇にあるものと思います。




 最後に。。。
 くれぐれも日曜学校でゲームしてるとこを見られないようにしましょ。 (^_*)\バキッ

 おまけ)勝てないことで有名な「StaBu」の甘〜い戦勝記録。

    パパパパ、パーフェクト♪(ToT)




質問・感想はquwa@mail.goo.ne.jpまで

※私のパーム使用法についての他の情報はココ