●電子野帳のプロフィール

1.パーム参上(手のひらの土建屋)

●どうもPalm-OSデバイスのような小さなコンピュータをみると、必ず「それで何ができるの?」とよく聴かれる。土建屋ではシステム手帳なんてもの使っている人は見たことないし、まして電子手帳ともなれば言わずもがなである。手のひらをこまねいてあれこれ考えても数十トンの荷重には耐えられそうもない。いつも現実的な対応をすることが大切なのだ。そのような現場で手のひらのシミュエーションはあまり歓迎されない。

 ところでそういう現場では何を使っているかというと、初心者からベテランまで、多くの人は緑色の測量野帳を手渡されて汎用の工事メモに使っている。ようするにそれで何かをするのではなく、工事の出来形を計測したりスケッチしたりと、現場で起こった様々な情況をただただ野帳に記録する。胸のポケットに入る大きさだし、薄いのにちゃんとハードカバーが付いて撓(しな)らないので片手で持ってもしっかり書ける。布張りなので破けにくくメモがバラけることもない。測量野帳のレイアウトで便利なのは、左側に数値欄が表組みになっていて、右側にメモ用の欄が並んでいる点。丁度左にExcel、右にWordというレイアウトになる。スケジュール手帳のレイアウトをもっと汎用にした感じで、結局色んなことを書き込んでいる。正式な書類とは別の雑記帳という感覚なのだが業界ならではの便利手帳である。

 あとは業者さんや客先への連絡先と予定表(打合せやプライベート)を書いた小さな手帳。電卓やミニ金尺とマーキング用のチョークなど。これだけを胸ポケット入れておけば粗方のことはできるようだ。土建屋の世界では重機や工作機械などじゃんじゃん使う割には、作業全体が両手の空いていることを前提にしているので、意外と収納性の好いアイテムが揃っている。そこにパーム参上!である。


 ⇒⇒⇒⇒⇒ で、パームにしたらどうよ?







●パームの基本機能
 Palm-OSは携帯情報端末用のOSで、PIM機能、パソコンとのデータ連携、手書き認識などを特徴にしています。

1)PIM機能は予定表、アドレス、toDo、メモ帳という、システム手帳に似た個人データの管理機能を標準で備えていることです。これらの標準搭載アプリについてはMuchy's Palmware Review!に詳しく掲載されていますので参照ください。※PIM:Personal Information Managerの略


2)パソコンとのデータ連携はHotsyncというボタンひとつで、簡単にパソコンとパームの内容を同期しお互いの最新の情報に入れ替えてくれます。これまでほとんどの携帯情報端末が独自機能を誇る小型パソコンとして閉鎖的なデータ環境をもっていたのに対し、データの閲覧・入力はパームで行い、データの2次利用や高度な処理はパソコンで行う、という使用環境の住み分けを前提にしています。その分パームでのデータ閲覧は小さなCPUで非常に早くこなせることが特徴です。

 ボタンをプチッとな。ピロリ〜ン♪


3)手書き認識はGraffitiというアルファベットを一筆書きしたような記号で入力します。このことで無理にキーボードを実装することなく小型化が図れるようになっています。ソフトキーボードも付属していますが、手書き認識に慣れておくと操作も早くなり便利です。デスクワークで使用するような場合には組み込み式のキーボードが幾つか販売されていますので、長文を打ち込む場合にはそちらのほうが便利です。

  

最初は戸惑うが慣れれば簡単。達筆・乱筆に泣く諸兄姉殿、パームは貴方を見捨てません。(^_*)\バキッ



●実際に土建業務で使うとなると、標準のアプリケーションでは手の届かないところが多々生じます。特に複数の作業と日にちを跨いでる工程表や、工事記録、伝票などの書式の決まっているものなどは、単なる予定表やメモに留まらず入力するのにひと工夫要ります。

 しかしこれからがPalm-OSデバイスの本領発揮です。パーム用のアプリケーションの数は携帯情報端末のなかでも群を抜いて多いことで知られ、数万種類にも及ぶアプリケーションで自分の好みの機能を付加することができます。英語版のものも多いのですが、操作はほとんど直感的で触っているうちに憶えるという感じのものも多いです。そこで現場で必要な機能をまとめてみると以下のようになります。


【現場で持ち歩く物】   【Palm-OSデバイスにできること】
役割 持ち歩いてる物 保管場所   アプリケーション 備考
工程管理 工程表、日報 作業車両に置いてある Progect 進捗度を管理
工事記録 野帳 ポケット QuickSheet、J-Fileなど 書式に添って入力
表計算、データベース化
納品・原価管理 伝票 事務所で清算
連絡先&予定表 スケジュール手帳 ポケット アドレス、予定表 パソコンと同期
図面集 図面集 手の届くところに置く 図面集 ※手の届くところに追く
設計補助 関数電卓、金尺 ポケット FuncCalc ※金尺は別
生活情報 新聞、ラジオ 作業車両に積んでる WetherNewsなど インターネットと連動

 上の表を見ると、作業中も常に持っていなければいけないものと、一日に何回か確認するだけでいい物とを分けているのが、現場での習慣として根付いているように思います。これを携帯情報端末のPalm-OSデバイスで出来ることに差し替えていくと以下のようになります。さすがに図面や金尺ばかりは代替できないが、その他のことは大方ひとつの端末に収まってしまうことが判ります。


 Palm-OSデバイスにあって野帳にない機能は…
・記録の際に現在時刻が自動的に反映される
・計算、検索機能が付いている
・パソコンとのデータ連携が簡単

 これらはPalm-OSデバイスがデータのメモのみならず、時間、日付の管理を伴いながら計算や検索の機能を加えることで、扱うデータを常にアクティヴな状態で記録・閲覧できることを示しています。それでも足りない機能はパソコンで処理するようにします。

 Palm-OSデバイスの便利なところ
・アプリケーションの種類が豊富(数万規模)
・アプリケーションが瞬時に起動して保存作業がいらない
・バッテリの持ちがいい(普通に使って1週間位)


 あとは嗜好の問題ですが、最近のパソコンの普及と照らし合わせると、個人の記憶に頼る部分がデータベース化できて報告書や会計処理の手続きがスムーズになるように思うがいかがでしょうか。一方で携帯情報端末というと、事務所にデータベースを備えiモードでも入力できますよ、とかいうのを思い浮かべるかもしれないが、一見手軽に見える装置も初期投資がバカにならないし、自社用にカスタマイズするとすぐに数百万円規模に膨れあがるので結構不憫な思いをすることがあるかもしれません。しかしPalm-OSの場合はもともとコンピュータとデータ連携をすることが前提で作られているアプリケーションがほとんどなので、インフラ整備等の余計な設備投資も必要ありません。また非常に多種多様なアプリケーションがすでに出回っていて、いずれもフリー〜4000円程度のソフト代(パソコンの約1/10)で済むので経済的なのです。そこで本格的なデータベース構築や情報インフラを整備する初期投資を省略してパームを使って気軽に安いコストでできることを指折り数えてみたのがこのコーナー。さて、いいもの見つかりましたか?





2.設計計算(まずは手のひらで設計を)

実は私のパーム購入の動機はPIM機能にあったのではなく電卓の代替にあった(^_*)\バキッ。
 エンジニアといえども設計書に載らない部分を電卓で試計算しながら図面を引くのは、設計時間を最も効率的にする方法である。高機能な関数電卓に加え、通常の電卓同様のバッテリー持ちのよさが欲しかった。幸いFuncCalcという関数電卓ソフト(しかもフリーで! プログラム計算機能を備えてシェアウェアになりました)があったお蔭で、数式記述方式の分かり易いインターフェイスと、過去10回の計算過程を自動的にメモリして携帯の電話番号みたいにスクロールボタンで呼び出せるので、幾つかの数式をハシゴすることの多い土木計算では、数値のTry&Errorがすばやくできてすごく便利である。電源スイッチを切っても切っても金太郎…てな感じで前回した計算が出てくるのでございます。
 最新版では式と答えをコピペできて、なおかつ関数をプログラムして代数計算もできる。画面が広くて通信機能と日本語機能に優れるザウルスを選ばなかった基準はただ関数電卓にあり。じゃあ、関数電卓買えって・・・まぁお客さんそういわずに。To Doボタンに割り当てて一発起動しています。やるべきことの第一は計算…

●もうひとつはExcel互換の表計算ソフトが使えることで、QuickSheet(Ver.5.1.1)を使って鉄筋コンクリートの断面計算などを入れている。ちなみにこの画面はCLIEでhrFontMapperを使用しTinyフォントに強制変更した様子。ちょっと前まで32kBのメモリを搭載したポケコンにBASICさながらの対話式プログラムを入力していたのだから、10年も経たないうちに随分進歩したものだと思う。QuickSheetにはグラフ機能があり、昔、大学の研究室に置いてあるLotus 1-2-3の入ったDOS/Vパソコンで実験データの綺麗なグラフ(当然コピー&糊付け)が書ける・・・と喜んでいたのを懐かしく思い出す。あとHackで動く日本語ローカライザもフリーで提供されているので、QuickSheetの多機能でありながら英語だらけで難しいと思う部分を非常によくフォローしてくれる。 

 QuickSheetのもうひとつの特徴は、中間ファイルを使って元のパソコンのファイルを直接書き換えないことで、例えばEcxel上で印刷フォーマットが決まっているが、パームで持ち出して現場で修正したいような場合には便利かもしれない。またマクロを設定してあるシートにも同じことが言える。ただ大量のデータを表示するには向いていない(閲覧だけでなく並べ替えとかでもたつく)ので、そちらはJ-Fileなどのデータベース専用アプリが便利であると思う。

 設計計算上では、こうした抽象化された数値の閲覧にはパームはまさに当り役といえる。その分、普段の経験を補う方法でしか情報を得られないので、仕方なく現実の情況と比較し向き合うことになる。逆にそのことが実際の力学現象を理解するうえで、強力なGUIで表示された近頃のバーチャルな図式に騙されないで済むという効用もある。あとはフレーム計算ソフトなんてできればいいかなと思いながら、どうせ計算しても印刷できないし、アタリをつけるだけなら簡便な梁計算でオーダー感は十分に得られるので、物忘れのバックアップに構造計算式の幾つかを表計算にリストアップしとけば大丈夫。こまかいことはパソコンにまかせて…

●あとネジとか水道管で意外に多いのがインチ単位の表記。最近も横浜で100年以上現役で使用していた水道管を交換しましたが、それは英吉利製の鋳鉄管でございました。それだけ歴史をつなぐ役目を担ってきたのですな。一般に1in=2.54cmとはいうものの、専門に扱っていない限り憶えられないのがフツーなのか職務怠慢なのか。特にCADに実寸法を伴って入れるとなるとだいたいの適当というのも困る。とかなんとか痛い言い訳をしても始まらないので、ezConvDAというDAソフトを忍ばしておく。度量衡変換のソフトで手軽にスイスイ変換が行われるのが結構クセになりそうなソフトなので是非御利用あれ。

●Palm-OSで構造計算ってできるの?昔(といってもたった5,6年前)DOS/V機を使って5インチフロッピー(640kB)でカッチンカッチンいいながら何でも起動していたことを憶えている人の素朴な疑問…。(株)水野和男構造設計事務所でそんな疑問に答えてくれます。NSBasicベースでつくった、風圧力 、許容地耐力、鉄骨の小梁、杭の許容支持力、杭打ち式による許容支持力の推定、鉄骨ブレースの検討・・・などなど、いずれもかゆいところに手が届くニッチなソフトであります。やっぱり打ち合わせでアタリを付けるためというのが主な目的なんだそうで…現実ってそうですよね。数字をオーダー感で割り切って、あとで自分でフォローできる範囲で妥当に答える。これエンジニアのマナーでありまする。





3.工事管理
(現場に手のひらを染めて)

●2002年の鋼材消費量は昨年比で約16%増加し1億8,000万トンを上回る見通しという急激な設備投資で経済成長を続けるお隣の中国での国家規模のお話。

 Palm-OSデバイスの小型でバッテリーの持ちのよさは、これから電算インフラを構築する国には携帯端末として持ってこいのスキルでもある。お隣の中国での事例をみる。そこに土木建築工事の工程管理にPalm-OSデバイスの使用を提案する「中国土木水利工程学会」のサイトあり(提案者は台湾の台北科学技術大学の人たち)。端末の比較にはPalm IIIcと、Win 9x ミニノートブック、CE2.1ハンドヘルドPC(いずれも台湾製?)を例に、動作の機敏さやバッテリーの持ちなどを検討。他のサイトではパームは「派楽」と書かれ「我可提供在内的一体化解決法案」と大喜びである。建設費用の監理、工事進捗の把握、資材調達の最適化などを迅速に行うため、データベース(資料集)構築にAccessを使用、現場で簡単に携帯端末から工事進捗や資材搬入の日報を書き込めるようにするには、誰でも持ち歩ける携帯端末と簡便な入力フォーム(格式)の策定が欠かせないとしている。今後PDA市場自体の活性化や短距離無線技術(Ericsson公司など)のインフラ整備により、さらにシームレスなデータ構築が可能との見通し。

 考えてみれば中国のような広大な国土で、工事情況を郵便に託して監理していたのでは建設資材の調達などで工事が滞ってしまうことは確実。まぁどこでものほほ〜んとできるわけでもなさそうです。欧米や日本の商社では在庫管理や顧客情報のデータベース化はビジネスモデルとして確立しているが、そうしたマネージメント技術を個別の土建事業に移植しようとするのは合理的である。ある意味では、中国のような計画経済で土建事業を国家が直接監理している場合、こうした統計的な手法はさらに有効であるように思う。しかし日本でさえ、ここ数年の間でようやく公共工事記録の電子化が定着したことを思うと、いずれも五十歩百歩の世界であり是非がんばってほしいと思うのである。

 Palm-OSに関しては中国語化のローカライザがすでに出ているし、タイ語のものなども存在する。これから開発の増加する地域で、庶民の理解できるインターフェイスを持つ手のひらコンピューターの存在は、ビジネス以外の教育面でも活躍するのではないか…などと考えたりもする。データベースのフォーム策定に限らず、Palm-OSの画面操作はWindowsのコマンドにあたる操作を簡便なボタンに託して整理するようなガイドラインがあるので、言語に関する敷居が低く馴染みやすいともいえる。最近でも台湾エイサーから中国語OSがでたり、Palmコンピューターが日本を離脱して香港に移るなど、意外にホットな市場であることが伺える。







…といいつつ土木業界もピンからキリまでいろいろである。上記の中国のものが国家事業を担う本格的なデータベース構築を前提としているが、個人で扱うにはコストも手間もあまりに大げさ過ぎる。

 そこでProgectというアウトライン・エディタの機能にtoDoリンク、日付などの他、各タスクの評価、進捗などを入れられる便利アプリの登場である(フリーウェアなのもうれしい)。多種多様に渡る土建工事の工程管理ではフォーマットに柔軟性がなければ、ほとんど致命的なほどに使い物にならないので、完璧を誇るように一方的にカスタマイズされたフォーマットというのも、一度走り出したら後戻りできないようで結構悩ましいものである。というわけで、これまでパームで工程管理なんてナンセンスなことと思っていた。

 ところがProgectは操作がとても直感的でインストールして1日目で使えちゃいました。ちなみに左の入力は早朝インストールして、午前中の客先との打ち合せ後の昼間に頭の中の混乱を吐き出すように書くこと30分くらい…入力フォーマットの適当さが身に染みます。追加事項はいきなりテキストを書き始めると自動的にタスクの詳細設定の画面に切れ変わる。長文の入力には対応してないようなので付箋のような感覚で内容を並べていくと好いように思う。

 タスクの詳細設定には、題名と評価方法と期限、メモとtoDoの設定が要領よく収まっている。iconボタンを押すとDateBK3形式のアイコンを加えることができるので使えるものがあればいいかも。Progressで評価すると親タスクに子タスクの進捗や評価が反映されて、枝分かれした子タスクや孫タスクで予定していた項目の作業漏れなどが一目瞭然で確認できる。また期日の遅れているものには右端に「!」が付くので、比較的捜すのも簡単。左の全体図を例にとると、設計作業は概念の上位のものから並べているのに対し、加工工程は日付順または作業順にタスクを並べている。こうした業務の熟成度を評価する場合と、期日的な達成度の優先されるものとで、評価方法の異なるトピックスを並行して書き込める点が気に入ってる。全体の評価としては、設計作業は半分以上終わっているが、加工工程の進捗がまだ始まったばかりなので、全体の進捗はほとんど達成されていないことが判る。このように途中で気付いたり変更された事項を階層毎に簡単に追加できて、なおかつ総合的な評価や進捗を棒グラフで一覧できるので、納期のタイトな業務の進捗チェックや、事情の変化しやすい仕事の評価などに抜群の機能を発揮できる。

 同様なものに、BrainForestやProject@hand(最近ではBonsai)などのさらに高機能なアプリも存在するが、比較的小規模なプロジェクトの多い自分にとってはProgectで充分すぎるほど充分である。メモが多い人にとってはいちいち右のメモを開いて捜さなければならないが、これまでの工程表は簡単な書込みが多いし、持ち物の忘れ物チェックをするなら項目を増やすほうが実際的であるように思う。

 舶来のフリーウェアなのに、ちゃんと日本語版が用意されてる(日本人で開発に協力した方がいる)し、コンジットのPDesk(β版)も有償で手に入りますので、パームで書いた内容をパソコンで利用したいときにも便利かもしれない(2002年9月時点では、いまいちコンジットの安定度に欠けるようで、Hotsync中にパソコン側が強制終了して一回データをポアしたのでレジストは思案中)。その他に欲しい機能として、予定表、アドレスとの連携や、スケジュールの一覧など欠ける機能もあるが、何でもかんでも可能というよりは、単純に手早く入力できるのがこの手のアウトライン・エディタの長持ちの秘訣でもある。







 と言ってるうちにProgectにはLinkMasterというリンク作成アプリがあることを発見。Progectのメニュー→編集のなかに「LinkMaster経由でリンク」というのが予め付いていて、そこからLinkMasterで設定したリンクを辿ることができる。

 LinkMasterはProxyファイルで各種データベースへのリンクを作成できて、ProxyファイルにはAdress(アドレス)、Application(アプリ)、DateBook(予定表)、Find(検索)というのが標準で付属している。LinkMaster単体ではランチャーみたいな機能しか持っていない。Progectで選んだタスクにリンクができると右隅に画鋲のアイコンが表示されて、画鋲をタップするとリンク先のデータに飛んでくれる。

 ただアプリにリンクするときDoc文書やデータベースを特定できない(他の用事でDocリーダーをいじるとダメ)とか、Findが各アプリ毎に限定されてて今ひとつ要領を得ないなど、まだ痒いところがいっぱいある。まともなのがアドレスと予定表だが、Progectでリンクする予定表とtoDoの役割にどこか違いがあるのか?という疑問は避けられない。完了しても跡に残ってるという程度だろうか。結局使えるのはアドレスだけである。それも無闇にアドレスに登録するよりは、あの工事のときの誰々という記憶のほうが確かに思えるのだがいかがだろうか? 逆にいつも付き合いのある人は名前だけでも充分察しが付くように思う。納品関係のデータベースとの行き来が激しい人などは、目立つところにリンクを貼っておけば、工程表との兼ね合いが比較できるが、ハードボタンで行き来するのとどちらが簡単かというと無理して使わないのが筋だと思う。もしあるとすればtoDoと連携できるデータベースのほうが便利かもしれない。

 私個人の意見ではメモとtoDoだけをサポートするシンプルさが使いやすい理由でもあるので、LinkMasterはあまり使わないだろうと思う。なので参考までに。




●データベースの管理については今後コンテンツを増やしていく予定。とりあえずこちらをどうぞ。よく営業関連の人たちは、商品の在庫・価格リストや顧客毎の納品実績などを持ち歩くことになるのですが、土建関連では原価管理と工事記録を現場でチェックするということになるかと思います。通常は伝票と測量野帳を携えていくのですが、パームではどうするかというと、現場でチェックして入れたデータを汎用のCSVファイルにしてパソコンと連携させ、パソコンのデータベースに情報を流し込んだり、印刷用テンプレートにリンクさせたり、ということができます。

 以下の例では作業の二度手間を省くことができます。

例1)会計処理(原価管理)
【今までの作業】
手書きメモ、伝票 → 個々を事務所で会計処理ソフトに手入力 → 請求書のプリント

【パームでの作業】
現場で資材、伝票等のチェック → パソコンにデータ転送(会計ソフトに一斉入力) → 請求書のプリント

※パームに入力項目のみを記した入力フォームを設定

例2)工事記録(日報)
【今までの作業】
工事記録を書式に書き込む → 事務所で入力+ワープロで日報を作成 → 報告書を印刷

【パームでの作業】
工事記録をテンプレートに打込む → パソコンにデータ転送 → 報告書を印刷

※工事記録用のテンプレートをパーム用とパソコン用とに分けて作成

 ここで共通するのは入力フォームやテンプレートをパーム側で用意し、現場で確認できる事柄をそのまま記述したら、情報処理や印刷などの作業はパソコンに委ねるという方法です。これだとパームで情報処理を凡て完了させる必要がないので手軽に扱えると思います。まさにデジタルのメモ帳なのですね。

 ではパーム側で用意する入力フォームはどうするのか?…というと意外に簡単で、表計算ソフトに組んだ項目とデータがそのまま使えます。ただしCSVファイルに書き出した時点で計算処理やマクロなどが失われていることには注意が必要です。つまり直接リンクするのではなく、数字や項目「のみ」をやり取りする中間データとしてCSVファイルを利用するのです。これでパームでのデータの閲覧や入力が可能になり、またデータ項目が同じであればExcelやAcessにデータをまとめてコピペして処理することができます。

 JFeditはExcelライクな表示でJFileとデータ同期する(→CSVファイルと交換可)


 パームでの表示。とりあえず既成のデータということで…汗


「藩」データベース by 西田 和則さん

 上記のExcel風の表をパームに流し込むと、一覧画面と個々の詳細画面とに分かれて表示される。検索や並べ替えは一覧画面で、データの新規作成・更新は詳細画面で行う。詳細画面では数字やコメントの他に、「入力日時」「チェックBOX」「選択リスト」などの設定と表示が可能。これらもCSVファイル(タブ切りテキスト)としてパソコンと同期・抽出することが可能。現場で打込んだデータをまとめて流し込むことで入力の二度手間が省ける。(かも?)






4.生活情報(色んな情報が手のひらのなかに)

●ミッションがスタートする前に諜報員がみんなで時計を合わせる。これスパイ映画の常識。WorldMateはミッションスタートの時間に遅刻した貴兄にタイム・アジャストのネット・サービスをご提供いたします…(^_*)\バキッ。

 とうことでWorldMateがただの世界時計でないところは、左隅のベルの上にあるクルクルをポチッと押すと、パームの時計をインターネットの標準時に合わせてくれる。しかし無線なり電話なりの通信手段は必ず必要なので、何事も人里に居るうちに行うのが適当と思われます。

天気と予想気温

通貨の公証レート
 ちなみにWorldMateは世界の天気や為替も一日一回Hotsyncでアップデートしてくれます。天気にしても通貨にしても世界中の都市の天気や通貨をフォローしてくれる。経済新聞で、例えばを「台湾プラスチックグループは政府による東南アジア投資奨励政策を受けて、ベトナム向け大型投資を検討している。30億台湾元を投じて石炭火力発電所3基を建設するとともに、紡織、プラスチックなどの工場群を設置する考えだ。」という記事を読んで「元」ってなん円、「ルピー」って何ドル?という疑問にも即答いたします。(ただし闇レートはナシ…(^_*)\バキッ) なるほど今どきのグローバルな経済環境ともなればこの程度のことは知っておかなければと納得する。ただしHotsync中はネットに繋いでなければ情報を更新せずに素通りしてしまうのでご注意を。(私の場合は標準メールと同期を取ってメーラーを起動させているので、そのときついでに…)



●しかし天気ともなれば地元の予報が一番。ということでWebクリッピング・サービスのWetherNewsが役に立つ。パームに直接繋げられるインターネット環境(私はMocha PPP経由でパソコンと赤外線通信)が必要だが、朝出勤前に今日の予報と週間予報、ひまわりの画像などを落としておくと大概のことは察しがつく。とくに台風前夜は高気圧が張り出して快晴であることが多いので、工事現場の片付けや仮設の養生などうっかり忘れずに行うのが肝要。あと設計図書などの郵便物も、普段は届く宅配便でも初夏は大雨に悩まされることが多いので、期日の迫っているものは天気も計算にいれる必要があったりする。




●別にサーファーってるんじゃねぇんだけどさぁ…潮位の簡易計算ソフトTide Toolというものも役に立つことがありんす。土木的に何に必要かというと、海岸地域での雨水排水管の工事とか調査とかやるときの揚水量の把握とかですな。いくらポンプで水を上げても満ち潮のときは管内水位も上がってくるので効率が悪いってわけ。場合によっては水が上がり切らずにマンホールに人が入れないこともあって、揚水ポンプの段取りの遅れが工程の遅れに繋がるという初歩的なミスもしばしば。TideToolは舶来製でありながら日本の各港のデータがきっちり入っている。ちなみに左の太陽の表示は夕暮れ、右の月は7日月、潮位は満ち潮で1.22mという感じ。日の出、日の入り、新月、満月の情報も入ってるので見ているだけでも結構面白い。
 ふつうには海水浴や潮干狩りのお供になどにちょっと情報を知るときに便利かも。勝手の解らない海外の海情報も得られます。かのジェフさまもヨットの航路設定に使っているとかいないとか。いずれにせよ潮位と波の高さは別もので、地下水も雨などの天候も絡んでくるので、あくまでも参考にあつかうのがいいようで。



●最近は縁起を担いで工事の日取りを気にすることは無くなったが、旧暦は季節感や諸行事を知るうえで知っておくと便利なことも多い。旧暦は太陰暦というだけあって月の満ち欠けは日付通り。仲秋の名月は旧暦では当然八月十五日である。旧暦といえば日本では六曜が有名だが、風水の本場である台湾、中国は半端ではない。暦について言えば、あちらでは旧暦は「農暦」または「農民暦」といって今でも現役で、元々自分たちの文化のなかで育った合理的なものはそのまま使い続ける面を持ち合わせている。2つのアプリを紹介するが、いずれもBig5フォントでの表示が前提なのでCJKOSの使用が必須です。(CJKOSについては「Palmに中日韓環境を入れる方法」に詳しいので参照のこと)

寶島月暦】台湾製$0
 

日本を含む諸外国の休日(節日)が表示できて実用的。
世界中で貿易の拠点をもつ台湾らしいアプリだと思います。


中國農民暦】台湾製$5
More→
こちらはバリバリの風水モード。日本の神道もかなり影響を受けてそう。
ちょっとやそっとでは理解できないがマニア向けの開運縁起アプリ。



業務とは直接関係ないが最近はまっているのがCashBookという家計簿ソフト。これもいつでも持って歩けるのでレシートなしでも支払いに漏れがでません。近頃ちょっと赤字傾向が増えてきたのでいろいろと査察をいれる必要があると思った次第。

 さて、疑惑の犯人はいかに…?


ゲッ、いかにもエンゲル係数が高そうな表示

給料前の赤字決算
(所得は初期入力のサイフです!)



赤字の元凶が電算関連であることが発覚…汗


 一般の会計ソフトと同様なことができるので、業務用に使うには分類項目を工事名にすれば月毎の累計が出るし、仮払いや借入れ金の設定もできるので、事業規模の小さいところでは充分かも。まぁ、ほとんどの人はEcxelを使っているでしょうからQuickSheetのほうが便利なんでしょうね。




●なんにしろ設計業務は肩こりとの格闘である。根の入れすぎ→肩こり→姿勢がおかしい→腰痛…というパターンも結構あるので、適度にリラックスして30分に一度は背伸びをするのが好いみたい。ということでACUPRESSURE & DO-INの登場でございます。私これまで肩こりは肩を揉むものだと思っておりましたら、ツボは手首だったのですね。意外と思いつつ絵のように指圧をやったら、効くんですわ、これが!! 東洋の神秘に驚きつつ嬉しい悲鳴のアプリでございます。あ〜、そこそこ!きゅうぅぅぅぅぅっと…(^_*)\バキッ





【あとがき】

●ところでPalm-OSのミソは、これらのアプリがスイッチを入れたら一瞬にしてポンッと起動して使えるところ。まるで専用のROM機みたいにサクサク動くんでやんす。どのアプリにも備わっている優れたGUI環境は、むやみにアイコンを並べるのではなく、よく使うものは画面のなかに、細かい設定はメニューのなかに、というような使い勝手をより意識した設計をアプリ開発者の皆さんが心がけてくれています。マウスとキーボードという二刀流でコマンドを打ちまくるパソコンとは違い、テキパキとタップして目的のデータへと素速くアクセスできるのがパームの強みである。しかもほとんどのソフトが最後にやった動作を保存という作業抜きで自動的にバックアップしてくれるので、次にソフトを立ち上げたときにすぐに前からの作業を継続して始めることができる。図面の打ち合わせのときに、断面のスペックを訊かれてあわてて計算するときでも、サッと立ち上げてパパッと答える…歳も30半ばを過ぎると、たかが数時間前でも計算したことを経ちどころに忘れっぽくなりますしね。図面上のスペックを決めるときも長年の勘を確かめながら安心のために電卓打ってるようなもので。助かりますホント。

 パームを使い出して面白いと感じたのは、自然とパソコン作業のアドバイザーとして使ってることです。パソコンの主な仕事が印刷ベースでの製作物(図面、計算書、プレゼン資料など)を打ち込むのに対し、なんでもないアイディアなどを綴る雑記帳、辞書の調べ物や電卓を叩くなど、大げさにソフトを起動することなくパパッと調べられる便利帳として、パームはとても便利なのである。Windowsのようなマルチタスク型のOSではタスクの切り替えで色々なソフトとのデータ連携が取れるし、よく多数のソフトを画面上に並べたデモ画面を見るが、設計用にCADデータを扱うのにそのようなチマチマした作業は向かない。そしてデータの見比べをしながら作業するときにCAD画面が視覚から失われてそれを頭で記憶しないと書き込めないようなことが生じる。今まではそうしたバックデータに紙と電卓を使っていたのだが、要るのか要らないのかよく判らないデータが混在して整理するのに2度手間が掛かるようなことも生じていた(単に要領が悪いだけかもしれないのだが)。パームはあとでパソコンにバックアップの取れる点でも、仕事でオフレコを残す道具としてユニークなサブマシンなのである。




戻る