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マルコ |
ペトロ先生はずっとイエスさまと一緒だったんですね。 |
ペトロ爺 |
それがそうでもないんじゃ。
あれは、そうじゃ、過ぎ越しの夜のことじゃった。。。 |
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第三幕】イエスを否定する:ヨハネ13章1〜20、マタイ26章
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イエス |
今晩の過ぎ越しの食事を私ぁ楽しみに待ってたさよ。
私がおまいさんたちを愛してるってことをしっかり憶えておくさね。
さぁ食事の前に、これからおまいさんたちの足をぬぐったげるから足をお出しよ。
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アンデレ |
イエスさまがおいらの足を洗ってくれるなんて。なんだか王様になった気分だ。 |
シモン |
イエスさま。小間使いみたいにあっしの足も洗ってくださるんで? |
イエス |
シモンや。今私のしてることはおまいさんには判るまい。 |
シモン |
イエスさま〜。後生だからそんな小間使いみてぇなマネしねぇでくだせぇ。 |
イエス |
シモンよ。もしおまいさんの足を洗わないってことなら
私とおまいさんは何の関わり合いもないってことさね? |
シモン |
イエスさま。そんじゃ足だけなんてケチなこたぁ言わねぇで
頭のてっぺんからヘソの奥まで全部洗ってくだせぇ! |
アンデレ |
あんちゃ〜ん。みんなの前でみっともねぇよ〜。 |
イエス |
おやおやシモン。既におまいさんの体は清いさよ。足だけで十分さね。。。
さて、これでよし。みんな席についてよ〜く聞くさね。 |
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イエス |
今おまいさんたちにしたことは判るかい?
おまいさんたちは私のことを先生とか主とかいうさね。そいつは正しい。
だがね。 主である私がおまいさんたちの足を洗うんさ。
おまいさんたちもお互いに足を洗い合うようでなきゃいけないさよ。
今、おまいさんたちに新しい掟を与えるさね。
おまいさんたちはお互いに愛し合いなされ。私が愛したように愛し合いなされ。
それを見て誰もがおまいさんたちが私の弟子であると知るようになるさよ。 |
シモン |
お、おいらたち、みんな兄弟みたいなもんさ。なぁ、アンデレ。 |
アンデレ |
ヤコブやヨハネならともかく、おいらあんちゃんの本当の兄弟だよ。 |
シモン |
あったりめぇのこといちいち言うない! |
イエス |
みんなよくお聞き。
今晩、おまいさんたちはわたしにつまずくさね。つまずいて散り散りになるさよ。
しかし私が甦ったらおまいさんたちより先にガリラヤに行って迎えるさね。 |
シモン |
ほかのやつがつまずいたって、お、おいらは絶対にイエスさまにつまずいたりしねぇ。 |
イエス |
シモンや。おまいさんは今夜、ニワトリが鳴く前に三度私のことを知らないというさね。 |
シモン |
おいら、死んだってそんなこといわねぇぞ。 |
アンデレ |
お、おいらだっていわねぇぞ。 |
イエス |
さぁ、もう時がきたさね。ゲッセマネの園に出てしばらく祈るさね。 おまいさんたちも一緒にくるさよ。 |
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イエス |
(岩の前に跪いて)
ここで祈ってる間、そこで座ってるさね。
私は死なんばかりに悲しい。。。ここを離れず一緒に目を覚ましてるさね。
(祈る姿勢で)
父よ。できることなら、この苦々しい杯を私から過ぎ去らせてくだされ。
しかし私の願いではなく、あなたの御心のままにしてくだされ。。。
(弟子のほうを振り向く) |
シモン |
グ〜〜〜〜〜〜〜。。。。。 |
イエス |
お前さんたちゃ、どうして私と一緒に目を覚ましてられないさね。
一緒に目を覚まして祈ってるさね。 |
シモン |
へ?。。。へい。わかりやした。ガッテンでさぁ。。。 |
イエス |
(また岩の前に跪いて)
父よ。この苦々しい杯を飲み干さなければならんというなら
あなたの御心のままにしてくだされ。。。
(イエス振り向く→弟子は起きてるふり→イエス祈る→弟子寝る→イエス振り向く…) |
シモン |
グ〜〜〜〜〜〜〜。。。。。 |
イエス |
お前さんたちゃ、どうしてちょっとの間でも私と一緒に目を覚ましてられないさね。
誘惑にかからないように一緒に目を覚まして祈ってるさね。
心は元気でも、体は弱いものさね。 |
シモン |
へい。。。。へい、わかりやした。今度こそガッテンでさぁ。まかしといてくだせぇ。 |
イエス |
(また岩の前に跪いて)
父よ。この苦々しい杯を飲み干さなければならんというなら
あなたの御心のままにしてくだされ。。。
(立って弟子のところに行く) |
シモン |
グ〜〜〜〜〜〜〜。。。。。むにゃむにゃ。。。イエスさま。。。が〜〜てんで。。 |
イエス |
おまいさんたちゃ、まだ眠ってるさね?
もういい。時がきた。人の子は罪人に売り渡されるさね。 |
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兵隊 |
やいやい、やいのやい!!お前がイエスってやつだな。観念するんだな。 |
シモン |
なに言ってやんだい!イエスさまになにするってんだ!
その汚ねぇ手を離しやがれってんだい!(剣を振りかざす) |
イエス |
やめなさい!!剣を取る者はみな、剣で滅びるさよ。
それとも私が父にお願いして天の軍勢を集められないとは思わないさね?
このことがすべて起こったのは聖書に書かれてあることが実現するためさよ。 |
シモン |
イエスさま〜! |
アンデレ |
あんちゃん、このままじゃ一緒に捕まっちまうよ。 |
シモン |
畜生。。。ここは一度ずらかるぞ。アンデレ。(少し間をおいて)
おい?アンデレ!どこいった! おいらを置いてかねぇでくれよ〜。。。 |
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(イエス、兵隊の前で静かにしてる) |
兵隊 |
いいか、イエスとやら。大祭司カイアファさまの前だ。正直になんでも答えるんだぞ。
うそをつくと死刑になることもあるんだからな。
(シモンは焚き火の前でうろうろしてる)
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シモン |
さぁ、どうやってイエスさまを助け出すかなぁ。
さっき天使の軍勢がなんとかいってたな。。。
イエスさまのことだ。きっと、スルスルのスル〜リとあそこから抜け出すに違いねぇ。
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男 |
おい、おまえさん。たしかあそこのイエスと一緒にいた男だね。 |
シモン |
いや〜違う、違う。何のこといってんだか。
おまいさんも早いとこ家に帰ったほうがいいぜ。
きっと、おっかさんが待ちくたびれてらぁね。 |
男 |
よけいなお節介焼いてる暇あったら、そこの薪でもくべといてくれよな。 |
シモン |
おお、あぶねぇ、あぶねぇ。こんなとこで捕まっちゃいけねぇよな。フゥ。
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女中 |
ちょいと、アンタ!! |
シモン |
ビクッ! |
女中 |
あんた、たしかイエスとやらと一緒にいたね。 |
シモン |
なに寝ぼけたこと言ってやんだぃ!びっくりさせんじゃねぇ、このすっとこどっこいが! |
女中 |
なんだい、ちゃきちゃきのガリラヤっ子じゃないかい。あたいは言葉づかいでわかるよ。 |
シモン |
お。。。おい。。おいどんは。。。そんなやつぁしら。。。いや、知らぬですたい。。。 |
女中 |
へんなオヤジだねぇ。相手にすんじゃなかったよ。まったく。 |
シモン |
イエスさま、知らねぇなんて。。。なんてバチあたりなことを。
でも今はぐっとこらえて。。。辛抱だよなぁ。
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兵隊 |
おいおい。お前か。イエスとやらと一緒にいたとかいう男は。 |
シモン |
いや。。。あの。。。その |
女中 |
こいつナザレの近くのガリラヤ育ちだって。あたいは言葉づかいではっきりわかるよ。 |
シモン |
おいら。。。その。。。 |
男 |
さては、さっき刀もって斬りつけたやつだな。 |
シモン |
ええい、てやんでぇ。知らねぇもんは知らねぇってんだい。
おいらがイエスさまを知ってるってんなら、神さまが幾重にも罰してくれってんだい!
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ニワトリ |
コケコッコー。
(イエス、シモンのほうを振り向く) |
シモン |
ああ。知らねぇ。。。だなんて。。。イエスさま。 |
兵隊 |
もう夜明けだ。こんなやつにかまってないでイエスとやらを総督の所に連行せねば。 |
シモン |
(庭の端に行って)
イエスさまを知らねぇだなんて。。。そんなことねぇ。
そんなこたぁねぇ。。。イエスさまぁ、赦してくだせぇ。
知らねぇなんてそんなこたぁねぇ。。。 |
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