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マルコ |
魚がたくさん獲れたんですね。
ガリラヤでは他にどんなことがあったんですか? |
ペトロ爺 |
そうじゃな、こんなこともあったのぉ。
アンデレはあれで気だての良いやつじゃった。。。 |
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【第二幕】湖の上を歩く:マタイ14章13〜33、16章13〜28
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シモン |
なぁアンデレ。イエスさまの行くところ誰彼かまわず付いてくるなぁ。
船で逃げようが山に登ろうが、金魚の糞みてぇにどこにだって付いてきやがら。
人を獲る漁師ってのも、辛れぇ〜もんだねぇ〜。(たばこなど吸いながら?)
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アンデレ |
猫も杓子もってのはこのことだね。あんちゃん。
しかし腹へったなぁ。この人たちも腹へってないのかなぁ。 |
シモン |
ちょっくらおいら先生様のところいって、みんなをおまんま喰いに帰らせろって
言ってくらぁ。。。お〜い、イエスさまぁ〜! |
イエス |
なにさね、シモン。そんなにあわてて。 |
シモン |
イエスさま。みんなをおまんま喰いに家に帰らせてみたらどうです?
こんな人っ子ひとり住んじゃいねぇ土地じゃ、みんな腹すかしちまいまさぁ。
ついでにあっしらもぉ〜。。。 |
イエス |
おまいさんたち。帰らせるこたぁないさよ。
食べもんならシモン、お前がその手で分けておあげ。 |
シモン |
「おあげ」って。。。イエスさまのいうことはごもっともだが。。。
どこにそんな大金があるってんです? |
アンデレ |
イエスさまぁ。この小僧がパン五つと魚二匹をどうぞって。
でも焼け石に水でさぁねぇ。あんちゃんも頼むからヤケクソになんねぇでよぉ。。。
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イエス |
それをこっちまで持っといで。さぁ父なる神さまに感謝の祈りを捧げるさよ。
恵み深い主に感謝せよ。慈しみはとこしえに。
神の中の神に感謝せよ。慈しみはとこしえに。
主の中の主に感謝せよ。慈しみはとこしえに。
さぁ。これをみんなに配るさね。 |
アンデレ |
(おそる、おそる)なぁ。。。あんちゃん。 |
シモン |
アンデレ。お、おまいからやれよ。 |
アンデレ |
じゃいっしょに。な。あんちゃん。
(食べ物を広げながら)あ、あんちゃん。こりゃいくらあげたって減らねぇよ! |
シモン |
減らねぇどころか。。。アンデレ、こいつらどんどん増えてきやがるぜ。 |
アンデレ |
みんな嬉しそうだね。あんちゃん。 |
シモン |
てやんでぇ!イエスさまがいっしょだってぇのに、心配なんかあるもんかぃ! |
イエス |
さぁ。あまったパンと魚を集めるさね。。。いくつになったさね? |
アンデレ |
イエスさま。12の籠にいっぱいだぁ。 |
シモン |
おいおい。みんな腹いっぱい喰ったはいいが。。。
揃いもそろってイエスさまのほうにピッタリ目ん玉張り付いちまってるぜ。 |
イエス |
どうやらここん人たちぁ私を今すぐにでも王様にしたいさね。
さて。私はしばらく山の上でお祈りしてるさよ。
おまいさんたちは先に向こう岸に行っといで。
あとで私も行くさね。 |
シモン |
ガッテンだい。アンデレ。船をだすぞ! |
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ほいきた!あんちゃん! |
(ふたりで) |
♪前はう〜ぅ〜み〜、後ろ〜はやぁ〜まぁで〜♪ハァ、どんぶらこ〜ドンブラコ! |
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アンデレ |
沖に出たはいいけど、あんちゃん。
向こうの山っからの吹き下ろしじゃ、ちっとも進めないよぉ。 |
シモン |
こんなシケに長いこと合っちゃ、こんなボロ船、長くはもたねぇぞ。
アンデレ。おい!なにぼんやりつっ立ってんだい!こっち手伝え! |
アンデレ |
あんちゃん。アレ。。。波の上を人みたいなのが歩いてるよぉ。。。 |
シモン |
なに寝言みたいなことを。。。ギャァ〜〜〜〜〜〜!!
幽霊!お化け!幽霊!お化け!幽霊。。。 |
アンデレ |
あんちゃん!おいら怖いよ! |
イエス |
何を脅えてるさねぇ。おまいさんたち。もう怖がるこたぁないよ。 |
シモン |
幽霊!お化け!幽霊!お化け!。。。 |
アンデレ |
あんちゃん。落ち着けよぉ。イエスさまだって。 |
シモン |
あぁ。。。イエスさま。。。迎えに来てくれたんでさぁね。
おいらも一緒に天国へ。。。 |
アンデレ |
ちぇっ。寝ぼけてんのは、あんちゃんのほうじゃねぇか。。。 |
イエス |
シモンよ。もう恐れるこたぁねぇさね。 |
シモン |
もしイエスさまなら、あっしに波の上を歩くようにお命じになってくだせぇ。
おいら歩いてみせます。 |
イエス |
シモンよ。歩いてこっちまでくるさね。 |
アンデレ |
おいおい。。あんちゃん。あぶねぇってばよぉ。おい。。。 |
シモン |
(そろりそろりと歩きだす。。。突然、目が覚めたように)
ギャァ〜〜〜〜〜!!足が沈むぅ〜〜〜波に呑まれるぅ〜〜〜!! |
イエス |
信仰の薄いもんさね。なんで疑ったりしたね。どれ。これで大丈夫。 |
シモン |
うぁぁぁ〜〜〜ん。イエスさま。イエスさま。怖かったよぉ〜〜〜。 |
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イエス |
ところでシモンよ。世の人は私のことを何と言ってるさね? |
シモン |
天に駆け上ったエリヤの再来だとか、死んだバプテスマのヨハネの甦りだとか。。。
エレミヤのような偉大な預言者のひとりだとか。。。 |
イエス |
シモンよ。おまいさんはどう思うね。 |
シモン |
イエスさまこそ生ける神の子メシアでさぁ!! |
イエス |
よく言ったさねシモンよ。おまいは幸せもんさよ。
そんことを言わしたのは人の心ではなく天の神さまの御心さよぉ。
おまいシモンよ。これからおまいをペトロと呼ぶことにするさよ。
そしておまいのその岩の上に私の教会をたてるさね。
どんな悪の力もおまいのその岩を砕くことはできないさよ。
そしておまいに天の鍵をさずけるさね。
おまいが開けば天は開け、おまいが閉じれば天は閉じるさよ。
そのためにも、これから話す私の話しをよ〜くお聞きよ。 |
イエス |
人の子はエルサレムの長老や祭司長に捉えられて十字架に掛けられ
殺されてのち三日後に甦る。このことをよく憶えておくさね。 |
シモン |
イエスさま。とんでもないこってす。そんなことあっちゃならねぇ。 |
イエス |
サタンよ、引き下がれ! おまいは人のことを思って神のことを思ってないさよ!
私に付いて来たいもんは自分を捨て、自分の十字架を背負って従ってくるさね。
自分の命を救いたいと思うもんは失うが、私のために命を失うもんはそれを得るさよ。
人は世界を手に入れたとしても、自分の命を失ったら得したと言えるさね?
自分の命を得るのにどんな代価が支払えるさね?
人の子が父の栄光に輝きながら天使と一緒に来るときにゃ
おまいさんたちの仕業に応じて報いるさね。 |
シモン |
あっしら、家も網も捨ててイエスさまにずっと従ってきたでさぁ。
これからも絶対に離れやせんぜ。 |
アンデレ |
おいらだって!ずっとずっとイエスさまに付いてくんだい! |
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