●墨淡の日々 其の六
ここで新製品の割にはあまり自慢されることの少ない
と言っているあいだに生産中止となったモノクロ・ハイレゾ機
PEG-T400の愛しさについて のほほんと語ってみた。
6−1.PIM機能はアナログタッチがよく似合う PEG-T400をおよそ一年使ってきたが、最近になってバッテリーもヘタリはじめてきた。充電満杯でも100%の時間がほとんどなく一日もしないうちに80%から60%くらいにダウン。そのあとダラダラと下がり続けるといった具合。PEG-T400は普段バックライトのいらないモノクロ機種なので、バッテリーの消耗は比較的少ないものと思うが、もともと薄型に造られた筐体に入るバッテリーは大きさからして限定されるはずだし、容量の小さい電池は充電の時間の短さにも役立っているように思う。この辺はカスタマー・サービスで充電池の有償交換もあるとのことなので、充電池を消耗品と割り切るというのもいいようにも思う。 しかしソニーさんが考えている製品寿命がその程度なのか?という疑問もないわけではない。そう。この一年でめっきりPalm-OSを取り巻く環境が一変してしまったように思う。ちょうど12色表示で大流行したインベーダーゲームが、ものの2年もしない間にフルカラーCGのファイナル・ファンタジーに置き換わってしまったような感じ。ゲーム業界がソフト開発に異常なコストを抱えるのと同じようにPalm-OSも同じ道を辿るのかな…と思うと少し寂しい気がする。 PIM機能を中心にみれば相変わらずのアナログ人生なのだから、それがフルカラーCGで描写されようが内容が変わるわけでもない。それでもフツーの生活を潤いのあるものにしたくてパームをいじっているようにも思う。その意味ではパームは個人データのアシスタントというよりはコンパニオンというほうが相応しいデバイスなのかもしれない。機能の優秀さというよりは親密さ。そうした手触りのあるコンピューターを造り出す気運がこれからも失われないでほしいと勝手ながらに思う。 というのもコンピューターはコマンドひとつにしても入力作業が必ず付きまとうので、入力してて楽しいインターフェイス、つい触りたくなるようなデザインであるべきだと常日頃思う。ソニーさんが提案している筐体のエンターテイメント路線もひとつの回答だし、パーム社のあくまでも最小限のデザインで画面のイベントを浮き立たせるのも一案だと思う。HandSpring社のTreoがいじって楽しいデバイスと誉める人も多い。 |
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6−2.コンピューターらしくないのがいい? GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)の権化となるPDAの画面はソフト制作者に苦労を強いるものの、デバイスの使いよさは格段によくなる。(使いよくないソフトは必然的に入っていないことにもなるのだが…) 先日実家に帰省してみると母がコンピューターを買っていたのだが全然使えてなかった。ADSLで申し込んだが回線が使えずアナログ・ダイヤルアップ接続のまま業者に放置されてたり、本人もキーボードは愚かマウスも扱えないという感じ。案の定、友人たちからメールをもらっても返事がないということで飽きられてしまったらしい。趣味に多忙なところもあってパソコン教室へ通う気力も萎えている。 結局コンピューターでやってみたいことは何か?…というと「メール」のひとこと返事で、ワープロも表計算もほとんど必要ないらしい…というか、そんなの憶える暇がないというのだ。とは言いつつも携帯電話でメール打つのは更に困難。それならとパームを取り出してプチプチ画面を押しながら「これもコンピューター」と説明すると「そういうのがイイ!」というふたつ返事であった。で、私が母に薦めたのはザウルスですた…(^_*)\バキッ 手書き認識ができる。携帯電話との接続が簡単。そのうえ型落ちしているので安い。年の瀬に新宿(秋葉には行かせられない)ヨドバシカメラに直行して、展示品のクレードルが抜けてるので手持ちの鉛筆(!)で試し書き。乱筆にご用心…と言う矢先から漢字も一発スラスラ認識。年寄りのほうが漢字は良く知っているものだと改めて思い知った。 購入したのはMI−L1。(私の好みも判るでしょう?やっぱりブラックでしょうが) 私のポイントカードでau携帯接続ケーブルとクレードルと保護シールなどをゲット。買った後には「そっちに付いてるようなケースは?」と私のクリエを指して言うまでになっていた。すかさずケースを物色しに新宿ビックカメラへ行って赤いモビルスーツ…否、PDAケースを購入。これで完成です。 |
![]() やっぱり黒! ![]() ちなみに私のクリエのケース 奥さん、アルゼンチン製ですぜ。 |
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6−3.多機能と使い勝手は逆行する PDAの場合、コンピューター本体がポケットに入るのと同様に、ポケットに収まるのにちょうど好い情報量というのもある。できるだけ多く、なんでも携帯して持ち歩けるというのは、電子頭脳を語るうえでひとつのバロメータだが、それを引き出すのは実は自分の経験上の脳でしかない。そう思うと、ポケットに詰め込む情報は有用で最低限のものという基本はあまり変ってないと思う。ビスケットは欲張って多くポケットに詰め込み過ぎると粉々になって食べにくくなるものだ。実はそれはPDAの機能にもいえるのであって、一回で消化できる必要十分な情報量を決めるのに、初期のパームのコンセプトはまさに打ってつけだったような気がする。 右の図は私自身がここ3ヶ月ほどで使用したアプリの統計だが、起動回数と起動時間とは必ずしも一致していない。起動回数で多いのが予定表置き換えアプリのCuteDBook。逆に時間で圧倒的に多いのが関数電卓のFuncCulc。予定表は比較的こまめに入れているのだが、すぐ入れてすぐ終わるので平均2分。関数電卓が1回の起動で107分使用しているのは、一度アプリを起動した後、2日くらいは画面がそのままになっているので、1日に約1時間は電卓を叩いてることになります。時間で2位に付けているリバーシゲームのStaBuは、起動回数ではトップ10入りしていないが実は9回。勝つまではやめない性格上、40分程度は粘っているらしい。聖書ソフトのBibleReaderは日曜礼拝中の調べ物に数回起動することがあって、これも平均2分といったところ。 こうしてみると日用の事柄や調べ物などは2分くらいで済み、じっくり使用する特別なアプリは30分以上使っているという感じです。通常のパソコンのように小一時間キーを叩くといことはしないのですね。そのシンプルさが飽きの来ない電脳デバイスの秘訣だと思いまする。 |
3ヶ月ほどのアプリ使用統計 ![]() ![]() |