▽母なるパソコン

0.飛ぶ鳥あとを濁さず

●会社の母艦はCompaq製(最近のれんを換え損ねました…と思ったらやっぱり換えました)のPentiam II 350MHzマシーンです。使いはじめてもうかれこれ5年も経ちますがちっとも壊れないんですわ。毎日8時間以上CADやらワープロやらとフル稼働なんですけど。Win NTなのでパームとはシリアル接続になりますな。AutoCADはGIII時代からのお友達です。3D化されても作図の基本コマンドがほとんど変わっていないのはレトロ趣味が炸裂してアッパレでございます。今でもLine、Circle、Trim、Extend、Offsetなど口癖で出てくるのは、PCに命令する前に自分に言い聞かせることで脳ミソごとCADにシンクロさせていた古きよき時代の名残でございます。電脳ならぬ伝脳ですな。図面以外にもマンガを描いて色塗りなんて芸当もやってます。フレーム計算はSTAN3D、コンクリート断面はUC-1ということで。いずれもDOS/V時代からのお付き合いでございます。 こうした設計図書を人間業を超えた高品質に仕上げるのはパソコン抜きには考えられませぬ。

 あとはMathCADという計算するワープロみたいなのも使っています。記述した式が代数変換ができるので、数式を順番に書いていけば変数を書き換えるだけで解が書き換わって便利です。なおかつ高度な連立方程式や微積分を高精度にこなすので理論解を導くのに超便利。学生のときに知ってたら涙がちょちょ切れていたことでしょう。何でも力業で解けてしまうので数学のテクニックが落ちるという人さえいるくらいで…数式がそのまま表示されるのでExcelのようなブラックBoxにならないところがいいのか悪いのか…ともかく一目瞭然です。よくExcelでなが〜い式を記述して答えの間違っているのは判るんだけど、どこが間違っているか探すのに手間取って、はじめっから頭をクリアーにして打ち直したほうが早かった・・・なんてことにはならないです。最近はメモリ量の多いPCが普通なのですが、以前は激オモVBがメモリ上でうろたえて立ち往生することが多かったのでございます。Palmでは出来ないPCならではのアッパレな力業と申せましょう。


●しか〜し、これらを常時持ち出すとなると重量のみならず、ソフトの起動+操作にも一苦労…特に人と話しているときなど、画面を前にして「敷居が高い」ですしなぁ…いかにもお前の云うことネタにしてやるって感じで好きじゃありません。それにデータの保護にも相当気を遣ってしまいます(図面など電車のなかで広げることはクライアントの守秘義務のため厳禁でございます)。そうしたこうしたに紛れてどこでも開ける簡単便利な自分用の知恵袋としてパームを使ってるのが現状(ちなみにCLIEくんを仕舞うのは巾着袋…)。

 実際パームは従来のコンピュータそのものの在り方を本気で考えさせられる携帯端末でもあるのです。その大きな原因がPalm-OSはコンピュータの機能よりも使う人のシチュエーションを優先するコンピュータだということではないかと思う。つまり端末自体は「いつでも、どこでも、サッと」個人の必要な情報を閲覧し追加するだけの単純なフォーマットを用意しているに過ぎない(この辺のチープさがMS社には理解しがたいらしく、私は単にアプリケーション・デザインの勝利であると思う)。

 一方でPalm-OSによる携帯コンピュータが単に持ち運べるということに留まらず、アプリケ−ションに時間的な要素を巧みに組み込んでいると言えます。コンピュータから情報を得てユーザーがしたい行動に移るまで、必要のない設定は避けてできるだけ簡便な操作で済ませるようにソフトがデザインされている。ユーザーがコンピュータを介しておこなう行動=シチュエーションが機能上でも優先されていると言えます。(以下にその例を示す)


 【文章を読む】:CrsMeDoc
 パソコン:起動→ファイルを選択文頭からページスクロール→文章を読む=4step+長いスクロール
 Palm-OSデバイス:起動(前回読んだ文書と箇所を記憶)→文章を読む=2step

 【路線検索をする】:HyperDia
 パソコン:起動→路線選択→乗車時間選択→検索→メモorプリント→移動=6step
 Palm-OSデバイス:起動→路線選択(現在時刻を反映)→検索(結果を表示)→移動=4step



 単純に例を示しただけでも「いつでも、どこでも、サッと」ということが、ソフトの機能ではなくデザインによって克服されていることが判る。もちろんPalm-OSにできない、あるいは苦手とする機能は沢山あるが、日用に足りる機能のほとんどは便利にできるようになっている。Palm-OSで使える機能はPalm-OSで使ったほうが便利であるという言い方ができるくらいの勢いが、今のPalm-OSにはあるというのが実際である。最初の製品Palm Pilot以来、Palm-OS用のアプリは次々と開発され、今ではもっとも大量のソフト・ライブラリを誇る携帯端末用OS(Muchy. comへGO!)として成長している。




●そういうわけで世の中にはパソコンで作ったコンテンツをパームで閲覧するのを助ける便利なコンジット(変換ソフト)が多く用意されておるのでごじゃります。ちうことで、さぁみんなでカバーを開いて…テクマコマヤコン、テクマコマヤコン、パームになーれっ!!(死語)


【母艦からの指令系統】
パームは母艦の操り人形であり、糸は操る人が自在にカスタマイズできる点が面白い。
なおコンジット後は3分で自動消滅…。しない、しない。(爆)

ソフト 指令内容
Palm Desktop PIMのバックアップやソフトのインストールなどの総合管理
Knowledge Index Editor Windowsのテキストファイルを階層整理してMeDoc文書にエクスポート
論文、シリーズ記事などをIndex付でまとめて保存
PiloWeb ネットを巡回しテキスト情報を切り出してMeDoc文書にエクスポート
新聞などの見出しと本文をIndex付でまとめて保存
PDesk Progectの内容をパソコンで表示・編集できるソフト
BMP to Image Viewer BMP、JPEG画像をFireViewer形式にエクスポート
地図や写真、イラストなどをコメント付で保存
QuickOffice DeskTop QuickSheetやQuickWordの中間ファイルをインポート&エクスポートする
SetonNotes Desktop SeatonNotesのテキストと手書きメモを総合管理
Mocha W32 ppp 母艦のインターネット環境をパームで利用できるソフト
Picture Gear Lite フォルダ内の写真を一覧できる他、Picture Gear Pocketへ画像を
エキスポートできる



1.アウトライン・エディタ

●まず忘れっぽいといえば、過去に大量の日誌やアイディア、長い打ち合わせ内容(議事録ならぬ疑似録)が予定表にメモッてある方々。母艦で働くKnowledge Index EditorなんてアウトラインエディターがMeDoc文書への書き出し、読み込みができて便利でござるよ。アウトラインの項目をMeDoc文書の目次にできるので、プロジェクトを色々な切り口で編集できて、木を見て森を観ない小難しい客先に当たったときの戦略練りに便利かも…っていうか木を見て森を見分けにくいPalm機を補完する意味でも極めて重要。過去の事例を反省するために、あくまでも自分の意見をまとめるための思考ツールですな。このソフトは一度終了しても前にした作業の状態で立ち上がるので、この前なにをいじっていたかの記憶が甦り最高に便利。インターネットの記事やコラムをテーマ別に整理したりすることにも使っています。単純にメールのやり取りをまとめるだけでもかなり仕事の流れと見解がスッキリします。



Kowledge Index Editorの画面:論文やメールの整理、


 一般にはテキストだけで画像が扱えないというのがペナルティのように感じる向きもありましょうが、私の感想はむしろ逆で、考えをまとめるのに画像を使うとそれだけで何か判ったようになってしまうということがよくあります。あえて言葉にするという作業が思考を論理的に発展させるキーワードになりやすい。アウトラインの階層に主従関係を持たせることでプロジェクトのテーゼ、アンチテーゼの関係がすんなり頭に思い描くことができる。文章の流れを気にせずに思ったことをメモして、周辺の反証と根拠を固めていく方法はとても有意義なものです。


Pookの画面:ルビ+「躑躅(つつじ)」の識字性に注目!
 趣味では青空文庫 パーム本の部屋提供の八木重吉の詩集をMeDoc形式に編集しなおして味わっております。あと小説でも章単位で区切っておくと便利ですよ。泉鏡花の小説をPookのルビ付き表示で読むと、これまた味わい深い。これがないと師の作品は漢字の勉強みたいで無粋も甚だしいです。Pookをして文章表現の奥の深さはインターネット・ブラウザを凌駕したといって過言ではないでしょう。ちなみにPookとCrs-MeDocは外部メモリのフォルダが共通していて、安心してメモリに移すことができます。








Progectはアウトライン・エディタの機能にtoDoリンク、日付、評価、進捗などを適当に入れられる便利アプリ(フリーウェア)。 ちゃんと日本語版も用意されてますし、コンジットのPDeskもベータ版で手に入りますので、パームで書いた内容をパソコンで利用したい人は便利かも。一般にアウトライン・エディタは過去完了形の事態を落ち着いて回想するのには向いているが、toDoを主体としたProgectは考えるよりも書き込む量の多いタイプの納期のタイトな業務の進捗や、事情の変化しやすい仕事の評価などに抜群の機能を発揮できる。長文の入力には対応していないようなので付箋のような感覚で内容を並べていくといいように思う。

 同様なものに、BrainForestやProject@handなどのさらに高機能なアプリも存在するが、比較的小規模なプロジェクトの多い自分にとってはProgectで充分すぎるほど充分である。欲しい機能のうち、予定表、アドレスとの連携や、スケジュールの一覧など欠ける機能もあるが、何でもかんでもというよりは単純に手早く入力できるのが、この手のアウトライン・エディタの長持ちの秘訣でもある。





2.画像データの共有

画像の取り込みなのですが、FireViewer形式で描き出してくれるBMP to Image Viewerが便利かな。CLIEにはハイレゾに対応したPicture Gear Pocketがあるが、FireViewerには画像サイズに制限がない点(文字つぶれがない)やがいいように思う。いずれハイレゾ対応、外部メモリ対応となることを首を長くして待っています。


BMP to Image Viewerの画面:モノクロに変換できる



FireViewerの画面


 最大の難関である図面表示はどうかというと、AutoCAD→Acrobat→BMP to Image ViewerFire Viewer、という大箱根駅伝でA3図面を150dpiに落して何とかPalmの画面に表示。図面のレイアウトイメージが頭の中に入っていれば、Fax程度の解像度で寸法、注釈などは確認できるので、あくまでも私的な用途であれば部材の配置と寸法の確認などに使える…かも。まぁ図面そのものを忘れないことが肝心でしょうが、関わっているプロジェクトについてひとセット揃えておけば便利は便利かも。現場を計りながら何とか視認して紙にスケッチするくらいはできますから。また出張帰りの電車のなかで図面を広げるなんてことのできないときに、どうしても今みたい・・・いま頭を整理してあとはゆっくり巷の露と化したい・・・そんなときの取って置きの内緒の方法でもある。(最近CrucerというDXFを表示できるソフトがβ版で出たので今後かなり期待できそう&ワラをも掴む思い。)


 
Picture Gear Pocketのアートな画面(PEG-T400)
●そのかわりPicture Gear Pocketはもっぱら美術作品の閲覧に用いている(文字認識が必要ないため)。PEG-T400の画面はモノクロでも意外に精細で、美術鑑賞でも主に造形の見比べに適していると思いまする。ビロードのようなモノクロ写真の階調にジ〜ンとやられたらたまらんですな。



Noteの描画


HyperDiaの路線検索
●パーム内の画像データの描き出しはどうすんの?ということもありましょう。現場には付き物の手書きメモ(刑事コロンボみたいですな)にも色々あるが、気に入ったソフトでカキカキは便利でも、意外にコンジット機能のないソフトも少なくない。せっかく芸術点高いスケッチを描いても自分のパームでしか見ることができないなんて…そんなことはどうでもいい。地図でも似顔絵でもミミズのヘタレ字でも何でもスクリーンキャプチャして保管してしまおう。私の場合、地図描きに便利なMaxilaris.IncのNoteを使用しつつ、SrcShotでスクリーン画像のキャプチャをしている。手書きソフトのNoteは家とか標識の地図記号の他、日本語のテキスト書込みができる万全の品物。ちなみにSrcShotはHotSync後にキャプチャした画像が自動的にBMPファイルに変換されるスグレモノ。手書きメモに限らずとも、電車の時刻表とか詰め将棋の盤目とか、なごみ系キャラとか、、、などなどGUI環境の麗しいソフトの画面をキャプチャして保存→後でメールするというのもなかなかオツな計らいであろうぞ。BMPファイルながら容量がちっちゃい(通常6.4kB→ハイレゾ51kB)ので迷惑にならないしね。なんだかんだ言って、殴り書きではなく図形的な表現を好むのは設計者のサガというもの。だってそれじゃないと書いた気がしないんですもの〜!




3.ネットの情報を掴む

 …などと大それたことを言っておりますが、最近つとに思うのがパームでネットサーフィンってのは方便に過ぎないという意見。欲しい情報に辿り着くまでに異常に時間が掛かるし、通信アダプターも嵩張るし、と色々とパームらしからぬ物事に突き当たる。結局、PiloWebで新聞サイトを切り出してMeDoc文書にしたり、メールマガジンで情報を得たりすることが便利に思う。



サクサクサク〜♪
まずMeDoc形式で新聞の切抜きをしてくれるPiloWebは、Crs-MeDocと組み合わせると非常にサクサク読めます。そんなもの直接インターネットで読めばいいのでは?と思う向きもあることでしょうが、何がいいかというと、左側に表組で広告やリンクを沢山携えているページだと、3・4ページをスクロールしてやっと目当ての記事本文に辿り着いて、その後もリンクを行ったり来たりの繰り返し…となるのが普通のところを、PiloWebは「切り出し」の設定で必要なところのみに閲覧できる。またリンクのあと「戻る」という操作がなくても次のニュースを続けて読めたり、Indexからジャンプすることも可能な点なのですな。もちろん記事の見出しがそのままIndexに上ってまいりますので、記事の内容がすぐ判ります。Crs-MeDocの場合、MeDoc文書のIndex項目の切れ変わりが常にページ内で読み切りになるため、ニュースなどは非常に歯切れ良く読めます。


【お気に入りのPiloWeb設定】

共同通信(http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=YNS
. 最初の文字列 最後の文字列
切り出し <a name=ASPT> <!--=========FOOTER START============-->
リンク <font class=htop> </table>

アサヒ・コム(http://www.asahi.com/
. 最初の文字列 最後の文字列
切り出し <!-- National --> <!-- End of obituaries -->
リンク <!-- Start of Headline --> <!-- End of kiji -->
※リンク文字列指定: 0 を含む





●最近になってようやくPC側とのメール同期のしかたが判り(MAPIってなんじゃ?で凍りついていた…)、メールマガジンを急遽増やした次第。内容も結構本格的なものが多く、というか選んだものがコア過ぎるというべきか。メールマガジンのいいところは、Pilowebに比べてダウンロードに時間が掛からないこと。やはり高橋氏のCrs-mailViewがハイレゾ対応でメールのレイアウトが安定していて使いやすい。ただ少々長いメールだと標準アプリのメールだと内容を切ってしまうのですが、ThumbMailを忍ばせておくと30kB/1通まで容量を拡張できる(標準メールのデータベースも容量制限が拡張される)ので、ほとんどの場合に内容を全文読めるようになります。


【頼んだメールマガジン】…全て無料…ちょっとコアすぎますか…

・NNA BUSINESS MAIL ASIA版: アジア経済情報
・田中宇の国際ニュース解説: 国際政治問題のフリーライター
・世界の環境ホット!ニュース(GEN) : 環境問題の投稿トピック
・経済のグローバリゼーションの問題をウォッチします: 読んで字の通り。
・世界キリスト教情報: キリスト教の国際的なトピックスを紹介
・めいご: 迷悟庵裏千家茶道教室エッセイ






母艦のインターネット環境をパームで利用する方法としてMocha W32 pppがある。ワイヤレス環境があるのになんでそんなことまで…というと、単純に通信費用の安い環境でWebクリッピング(天気予報や地図案内)などのサービスが得られるからです。ちなみにこのソフトは1年前くらいに購入しておきながらつなげ方が判らなくて放置していたもの。最近になって赤外線→COM4ポートで通信が可能なことを知って、目から鱗のオヨヨ…という具合です。(ともかく感動したということ) ちなみに私の母艦はThinkPad 1124なので、赤外線ポートは当然付いておりますことよ、オホホホホ。




お気に入りのWebクリッピング



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