これまで蒐集した聖歌のCDのリストです。
何かのお役に立てればと思います。
T 中東〜スラヴの聖歌
U 地中海〜ヨーロッパの聖歌
V 第三諸国の聖歌
T 中東〜スラヴの聖歌
◆シリア正教会
聖エフレム教会
聖処女教会婦人会「クァシュリ」(アンティオキア) |
| Syrian Orthdox Church (仏 UNESCO/Auvidis
D8039) |
| シリアはかつてエジプトと同様に単性論の強い地域であったがこれは正教会の歌唱。アラブ社会のなかでは珍しく女性が讃美のリードを取る場面もあり興味深い。後半は女性修道院のものだがマドローシュという非常に高いオクターブの声による2声部合唱が聴ける。 |
◆ギリシア正教会
クセノフォトス修道院(アトス山) |
| Easter on Mount Athos (独 Grammophon 449 399-2) |
| ギリシア正教のなかでもひときわ尊敬されるアトス山の修道院でのイースターの歌唱。正教会は一般に祝日には晩から朝まで礼拝を行なうので、この録音も折々の詩篇唱のトピックス紹介である。普段聴かれるスラヴ的な厚いドローンではなく、ほぼ単旋律に近い歌唱。 |
◆エチオピア正教会
「楽園」修道院(エルサレム) |
L'Eglise Orthodoxe Ethiopienne de Jerusalem
(仏 Ocora(Radio France) C560027-28) |
| エルサレムに居住しているエチオピア正教会のリタージ。日本民謡を思わせる独特の節回しと、合唱というよりはてんでバラバラに歌う合唱方法など、古代教会の状況を髣髴させるものがある。会堂で一緒にではなく、中央の至聖所を囲む回廊で各聖職者が陣取りして歌っている。こちらも徹夜の礼拝の録音である。 |
◆コプト教会
聖マルコ聖堂(カイロ) |
Liturgie der Koptisch-Orthodoxen Kirche, Weihnachten
(独 Christophoorus CHR 77185) |
| コプト教会の讃美である。音楽的には他のアラブ諸国の聖歌と大きく違うところはない。古代教会ではシリアと並んで神学の2大拠点だった。 |
◆マロン派教会
カトリック聖霊大学(レバノン) |
Gesange der Maronitischen liturgie
(独 Christophoorus CHE 0078-2) |
| レバノンでの生徒たちの歌唱。修道院ではないので女性も混ざって歌唱している。歌唱的にはスペインのモサラベ聖歌とも似ていて、やはり同じルーツをもつのではないかと思われる。十字軍時代にカトリックに加わり、いわゆる東方系カトリック教会の一翼を担う。 |
◆アルメニア正教会
メヒタール会修道院(聖ラザロ島/ヴェネチア) |
| Armenian liturugical chants (仏 UNESCO/Auvidis D8015) |
| ヴェネチアに亡命したアルメニア正教会の歌唱。系統的にはギリシア系に属するもので、それに少しのアラブ色が加わったような歌唱。 |
◆ブルガリア正教会
アレクサンダー・ネフスキー記念大聖堂(ソフィア) |
| Chants for Lent and Easter (ブルガリア GEGA GD 130) |
| ロシア正教会と同じような19世紀的な歌唱。歴史的にはスラヴ圏で最も早くキリスト教化された地域だった。 |
◆グルジア
グリー地方、プシャヴィー地方の男性合唱 |
Georgie chants de travail-chants de religieux
(仏 Ocora(Radio France) C560027-28) |
| 旧ソ連時代の民謡化した頃の合唱。ブルガリアと並んでこの手の民謡の宝庫でもある。 |
◆ロシア正教会
ザゴルスク修道院 |
1000 Jahre russische Klostergesange
(独 KOCH/Schwann 313079) |
| 特に他言を要しないが19世紀ロマン派期のアレンジによる歌唱。分厚い男声合唱の極地である。 |
U 地中海〜ヨーロッパの聖歌
◆ローマ・カトリック教会 グレゴリオ聖歌
モンセラート修道院(スペイン)
アインジーデルン・マリア修道院(独)
ミュンスターシュヴァルナッハ修道院(独)
フォンゴボー・ノートルダム修道院(仏)
シロス聖ドミンゴ修道院(スペイン)
ミラノ大聖堂(伊) |
Die Tradition des Gregorianshen Chorals
(独 Archiv 435 032-2) |
| 第二バチカン会議直後に録られたヨーロッパの主要な聖歌の伝承地を集めたアンソロジー。前半はグレゴリア聖歌の多様なアプローチについて、後半にモサラベ聖歌、ミラノ聖歌を加えている。 |
◆ローマ・カトリック教会
ルシュー村のパギエラ仲間(コルシカ島) |
| Corsica (仏 UNESCO/Auvidis/IICMCO D8012) |
| フランス領ながら地中海で独自の文化を保ち続けるコルシカ島でのミサ曲のポリフォニーの歌唱。アレンジはアルス・ノヴァのものと似ており、ここだけ時間が止まっているものと思われる。 |
◆ローマ・カトリック教会
聖週間の十字架行列(サルディニア島) |
Sardaigne pholyphonies de la Semaine Sainte
(仏 Le Chant du Monde LDX274936) |
| 聖週間のヴィア・ドロローサの聖歌。行列歌は言葉を途切れ途切れに発する独特なもの。聖堂では南イタリア特有の直線的な応唱が聴かれる。いずれも多声音楽のアレンジを施されている。 |
◆ローマ・カトリック教会
クリスマスの唄と踊り(シシリア島) |
'A Catata di li Pasturi
(伊 Taranta/Sudnord TA08-SN0038) |
| こちらは18世紀風のバイオリンやミュゼットで伴奏される典型的なクリスマス聖歌。いわゆる大道芸人から近所の子供を集めたと憶ゆる歌唱まで、非常に幅が広く楽しめる。 |
◆ローマ・カトリック教会
受難週のサエタス(スペイン アンダルシア) |
| Saetas (仏 Auvidis B6785) |
| いわゆるジプシーがファザードで歌う受難週の歌。彼らは祭より一歩前に、守護聖人であるサラ(アブラハムの妻、旅人を象徴している)の祝日に集まってくる。ここではパレードが自分の陣取った場所に辿り着いたときに、哀愁を帯びた歌謡を披露するような仕組みになっている。オーレィと仲間が掛け声を掛け応援するのも聴ける。 |
◆フランス改革派教会
ジュネーヴ詩篇歌 |
| Le Psautier Francais (仏 Champeaux CSM 0010) |
| フランスでの改革派音楽協議会による出版事業に基づき出された録音。ジュネーヴ詩篇歌の場合は教会会議での使用が決定された時点で出版のための事業が始まるため、いわゆる音楽作品への興味本位で録音されることは稀である。 |
◆ハンガリー改革派教会
ハンガリー宗教改革の聖歌(デブレチェン) |
The Chants of the Reformation in Hungary
(ハンガリー Hungaroton HCD12665) |
| かつては改革派のローマとも謳われたハンガリーでのジュネーヴ詩篇歌の歌唱。デブレチェンでの学校の生徒が歌っており、テナーが主旋律、ソプラノがオブリガードという16世紀のアレンジで歌っている。ハンガリー語訳はフランス語版の完成直後には出版された歴史の長いもの。 |
◆ルター派教会
ギター伴奏キルヒェン・リート(デンマーク) |
Hvorledes skal jeg mode og favne dig, min skat?
(デンマーク Danacord DACOCD 426) |
| 18世紀のアレンジによるギター弾き語りという珍しい録音。かつての家庭的な雰囲気を味わうにはとっておきの歌唱である。 |
◆スコットランド自由教会
ゲール語による詩篇歌(ルイス島) |
Gaelic psalms from Lewis
(英 Greentrax Recordings CDTRAX 9006) |
| 所持しているCDのうちではエチオピア正教会のものに継いで衝撃的な録音で、いわゆる16世紀のスコットランド詩篇歌に添って歌ってはいるものの、歌唱法は地声で延々とコブシを振り回す凄い歌唱である。 |
◆正統バプティスト教会
ライン・アウト唱法による讃美歌(米ケンタッキー) |
| The Gospel ship (米 New Worid Records 80294-2) |
| 上記のゲール語の歌唱が島の民謡ではなく、16世紀の伝統的な歌唱法であったということを確証させる録音。やはり長唄風に延々と小節を振り回す。 |
◆セィクレッド・ハープ・シンガーズ
土曜日の歌唱学校(米アラバマ) |
| Sacred Harp (米 New Worid Records 80205-2) |
| 18世紀イギリスでのメソジスト運動の余波を受けて流行したシンギング・スクールの伝統を引き継ぐ団体の録音。 |
◆シェイカー教徒
讃美と霊歌(米メイン州 サバオスディ湖畔) |
| Simple Gifts (米 Erato 4509-98491-2) |
| アメリカの古楽団体のボストン・カメラータとシェイカー教徒とのコラボレーション。 |
◆アビシニアン・バプティスト教会
ゴスペル讃美礼拝(米ニューアーク) |
The Abyssinian Bptist Gospel Choir
(日本 Sony records SRCS 5654) |
| 典型的なゴスペル教会の礼拝を録音したもの。1950年代の歌唱であり、伴奏も電子オルガンのみで会衆のクラッピングでリズムを刻む。 |
V 第三諸国の聖歌
【南アメリカ】
◆アルゼンチン
ミサ・クリオージャ |
| Missa Criolla/MiaaFlamenca (蘭 Philips 814 055-2) |
| 1965年の第二ヴァチカン会議におけるミサでの各国語使用の解禁をうけて、アリエル・ラミレス氏が南米アルゼンチンのフォークロアを使って作曲したミサ曲。クリオージャとは大地を意味している。これは作曲当時の初禄音盤(1968)。CDには同じ頃に録音されたミサ・フラメンカも収録。 |
◆チリ
人民のためのオラトリオ |
| Angel Parra/Para el Pueblo (仏 Auvidis A 6163) |
民主的手続きで南米における初の共産政権誕生の後に、1973年軍事クーデターが起こり民衆を含む多くの人が激しい弾圧の下で、強制収容所に送られた。このCDはアンヘル・パラ氏により、そうした収容所で演じるために作られた受難劇とミサとを収録している。
ミサの聖餐の歌詞にはこう讃美されている。「これはパンである/わたしたちの捧げ物/ここにパンがある/わたしたちの命/パンはわたしたちの愛/わたしたちの大地/感謝と悲しみ/わたしたちの希望/より良い世界をつくるために!」 |
◆メキシコ
祝祭のミサ |
| Misas y Fiestas Mexicanas (仏 Arion ARN 64017) |
| やはり第二ヴァチカン会議をうけて、1966年から実際に使用されてきたミサの録音。メキシコのポピュラー・ソングのアレンジで、会衆が簡単なリフレインを唱和するように作られている。こちらは上記2つのスタジオ録音と違い、ミサの実況録音である。 |
【アフリカ】
◆旧ザイール
ルイロ村カトリック教会 |
| 黒曜のミサ (日本ビクター VICG-5229) |
| 現在はコンゴという国名になった、ルワンダ国境のルイロ村でのミサの実況録音。子どもたちによる聖歌隊がサンバのようなリズムに乗って、キンキン声で元気よく歌う。20世紀後半にかけて大きな躍進を遂げた、アフリカの民族教会の礼拝スタイルをよく伝える好録音。たまたまテレビで見た紛争地域の難民キャンプでも、子どもたちが両手を真っ直ぐうえに挙げながら、左右にリズムをとって歌の練習をしていました。この録音は日本ビクターによる1983年の紛争以前の録音で、貴重な記録となった。 |
◆セネガル
ケウル・モウサ修道院 |
Messe et Chants au Monastere de Keur Moussa
(仏 Arion ARN 64095) |
| フランスの聖歌研究で有名なソレム修道院の系列に属する修道院での聖歌を収録。民族楽器の調べにのってソレム唱法特有のフワフワした歌い方が印象的。ミサとその他の讃歌を収録。 |
◆南アフリカ
レディー・スミス・ブラック・マンバーゾ |
Shaka Zulu/Lady Smith Black Mambazo
(日本 ワーナー WPCP-4986) |
| アフリカの民族的キリスト教聖歌のもうひとつの流派として、アカペラコーラス・グループがある。南アフリカのソウェト地区で盛んな歌唱は、ポール・サイモンのアルバム「グレースランド」で紹介されて以来、大きな注目を浴びている。 |
◆ザンビア
アカペラ・コーラス |
| Zambian Acapella (米 Word/Epic EK 67930) |
| こちらも上記のアカペラコーラスのスタイルを使った聖歌。アメリカのブラック・ゴスペルの曲なども取り入れている。 |
【アジア・オセアニア】
◆日本
隠れキリシタンのオラショ |
| 洋楽事始 (東芝EMI/山野楽器 YMCD-1060-61) |
| 日本の西洋音楽史家の皆川達夫氏がライフワークのひとつとして、オラショとカトリック典礼のつながりを解明しようとした録音。前半の1枚をキリシタン時代の「サクラメンタル概要」に記されたミサの復元、後半の2枚目がオラショの現地録音となっている。江戸時代の百姓に抱く素朴=無知のイメージとは裏腹に、典礼そのものの記憶力と伝承の確かさは庶民が支える文化のしたたかささえ憶える。オラショの録音としては、1950年代のものと1970年代のものとに分かれているが、20年の歳月のなかでもテンポ感が変わっているのは興味深い。 |
◆日本
カトリック典礼聖歌 |
| 詩篇唱和 (フォンテック EFCD4004) |
| 1965年以降のカトリック典礼の刷新を受けて、高田三郎氏が作曲・監修に当たった聖歌集のなかの詩篇だけの録音。このほかにミサ、賛歌、祈りの四季と合わせて4枚の録音がなされている。歌唱は当時教授を務めていた国立音楽大学を中心とする典礼聖歌研究会。詩篇朗唱に応答賛歌を加えるスタイルで、フランシスコ会訳の動詞を後に持ってくる自然な日本語により、アンニュイな世界が爛漫に広がる。讃美歌の主情的な表現に比べ、詩篇をそのまま詠んでいるという印象をうける。 |
◆日本
琉球讃美歌 |
| 教会行ちゃびらやー (ライフ企画 WLP-LK9701) |
| 沖縄のバプテスト教会牧師、横田盛永氏による琉球語による讃美。三線(サンシン)を片手に島歌のメロディーにのって唄い出す。後半は普通の讃美歌を琉球語にして歌ったアカペラコーラス。 |
◆台湾
玉山神学校 |
| 山海歓唱/玉神之音D (台湾 得音有声出版社 FCD8505) |
| 台湾の玉山(ロンシャン)神学校で組まれている民族讃美のプログラムによる録音。同課目の各年の卒業生が作品を録音するということが行われているが、このCDは台湾長老基督教会の50周年記念の録音でもある。台湾の山岳民族は合唱する伝統があり、地元では山岳民族によるコーラスコンクールもある。普通の民謡からオリジナルのピアノ伴奏の讃美歌まで幅広い作品を収録。 |
◆フィジー/トゥブアイ島
ポリネシアの聖歌 |
Tubuai Choir from the Polynesian Odyssey
(米 Shanachie 64049) |
| 南太平洋沖のフィジーは19世紀中盤からメソジストの宣教により、現在ではマウイ族のほとんどがクリスチャンという地域である。ポリネシアも合唱の盛んな地域で、今では独立した宣教を行っているので、ラグビーで踊るような勇ましい曲から南国的なゆったりした曲まで収録されている。普通の民謡も合わせて歌われ、伝説の女戦士の勇敢な物語なども含まれる。 |
◆インド/タミル地方
デボーションのための歌 |
Jebamae Jeyam/ Bro.D.G.S.Dhinakaram
(インド The Indian Record IP-5031) |
| 「ムトゥ踊るマハラジャ」もあわや、と思わせる暑苦しい顔のディナカラムおじさんがひとり歌うデボーションソング。ハイテクサウンドを武器にやりたい放題である。楽しい讃美のあとにメッセージが付くのだが、タミル語なので何を言っているかは判らない。ブックレットには、たびたび夢でジーザスと直接合って啓示を受けたというのでタダモノではなさそうだ。実業家でクリスチャン関連の雑誌も出しているという。これを聞いて私も録音をしようと勇気(?)を出した。 |
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